「インセプション」と渡辺謙インタビュー

映画「インセプション」が話題らしい。

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私も面白いと思った。テーマについては上記などでいろいろ語られているが、私としては、複数の主要人物がそれぞれキャラが立っていて、それぞれのストーリーが複数層の夢の中で交錯していくのが面白かった。ハリウッドの伝統的な映画ではバリバリの主役ばかりが目立つが、最近の日本映画や、アメリカでもお話の長いテレビドラマでは、こういった「キャラクター群像劇」のようなものが多いと思う。「インセプション」は、後者の例。私はこういう群像劇が好きだ。

特に、大富豪の息子役のキリアン・マーフィーがよかった。彼は、この「夢」を使った犯罪劇のターゲット、被害者なのだが、最初から最後まで彼は真面目で真摯で、最後は彼が一番救われるのでは?川辺で座り込んで述懐するときの表情がいい。かなりの脇役なのだが、透明感があって、とても印象に残っている。

それから、バンバン銃を撃ちまくり、派手に爆発が起こり、人がどんどん死ぬのだが、すべて夢の中の話だとわかっているので、ヘンにドライで、安心して見ていられる。設定は違うが、「マトリックス」もそんな感じだった。

そして、もちろん我らが渡辺謙。初っ端から日本語で映画が始まり、あんな顔であんなところに住んでるなんて、驚かせやがって。それにしても美しいお城。この犯罪の依頼人であり悪いヤツなのだが、自分もプロジェクトに加わって一生懸命やり、ホントに悪いのだかなんだか。最近は、ドラマでも映画でも、「悪いジジイ」「悪いオヤジ」が大好きな私としては、なかなかおいしい。

その渡辺謙に、いつものようにHollywoodNewsWireのはせがわいずみさんがインタビューした。私は英訳に協力し、一部抜粋を英語ブログ「Hoga Central」に掲載した。

http://hogacentral.blogs.com/hoganews/2010/08/ken-watanabe-intervew-on-inception.html

この映画の前、「The Social Network」という映画の予告編が流れた。以前にこのブログでも書いたフェースブック創業者のお話「An Accidental Billionaire」の映画版である。こちらもある意味で群像劇なのだが、主要出演者がすべて、若い白人男性なので、短い予告編ではどれが誰だかサッパリわからない。みんな同じに見えてしまう。相変わらず白人優位のハリウッドではあるが、こういったキャラクター群像劇が流行ると、これまでは日陰だったアジア人俳優にも、役が回ってくるようになるかもしれない。この映画でも、渡辺謙はディカプリオに次ぐ「セカンド・ビル」(準主役、ぶっちゃけて言えば出演料が2番目)で、アジア人がオスカー級俳優との共演でセカンドビル、というのは初めてのケースである、というプレスリリースがわざわざ出されている。

日本人だけじゃなく、アジア人全体のためにも応援したい。がんばれ、渡辺謙!!