日本の政治をよくするために必要なただ二つのこと

最近はやりのこのパターンをタイトルに使ってみた。まぁ、ホントは二つじゃすまないけど。で、このところ「日本はダメか?」論争がいろいろあって面白い。

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私は「日本」という大きな「怪物」については、本でもブログでも講演会でも「ネタ」にすることはあるが、「日本はどうするべきだと思いますか」というド・マクロな質問には答えられず、敢えてスルーしてそういう怪物を相手にするための「個人の戦略」に話を絞ることにしている。答えられない理由は、「日本」といっちゃうと政治や政策の話がどうしても避けられず、それは普段の仕事からも生活からも遠いので、勉強していないから、よくわからないからだ。

だから、このエントリーはちゃんと勉強してモノを言ってるのではなく、普通に新聞やネットのニュースで漠然と見ている程度の知識で言っているということで理解してほしい。

まずは、「日本の政治(または政治家)がダメだ」という発言に対して「アメリカはもっとひどいじゃないか」という子供のケンカみたいな反論は、意味ない。千賀ちゃんにしても、他の人も、こういう発言をする人々が比較対象としているのは、「こうあるべきだ」と思う姿に対して「ダメ」だと言っているのだと思うからだ。その「こうあるべき」のモデルとして、他国の特定の政治家がいたりするかもしれないけれど。なにせ、いまどき、政治だろうが技術だろうが経済だろうが、日本よりも明らかにすべての面ですぐれていて目標とすべき国というのは、この地上にはすでに存在しない。どこかがよくても別のところが日本より劣っているという別のバランスがあるだけ、そういう「イコール」の関係になっちゃったのだ。「外に出ろ」という主張は、日本より明らかによい所に逃げろ、というのじゃなくて、「自分が合っているところに行け」という話。

だから、目標とすべきは「自分達が考える理想の姿」しかない。そのあたり、昔の「外的基準」はまず考えから除外すべし。

その前提で、では日本の政治および政治家が、今よりよくなるためには(繰り返すが、アメリカのようにとかイギリスのようにとかそういう話じゃなくて、日本人の多くが理想と思う姿に近づくには、ってことね)、まずは政治家の質を上げたいところだが、それにはどうしたらいいか。新聞とかでよく書いてあるフツーのことはまぁそれなりに当たってるんだろうが、私的には、次の二つが議論からかなり欠けてるように思う。

  1. キャリアパス
  2. ほめること

1.キャリアパス。なんで世襲政治家が多いかというと、キャリアパスがあまりに貧弱で、まともな人で政治家を目指す人が足りないからじゃないだろうか。世襲以外だと、思いつくのは「タレント」か「官僚」か「労組」かという感じなので、いずれも普通のビジネスマンや自営業の人などが政治家になれる道は少ない。政治家稼業は、落選したら路頭に迷ってしまうのだから、落選しても元の生活に戻れる道がないと、危なくてしょうがない。例えば「松下政経塾」などはキャリアパス形成の一つの試みだと思うが、もっとキャリアパスがフレキシブルになれば、「多様化」して「母数」が大きくなり、まともな人が政治家になるチャンスがもっと多くなる。

2.ほめること。これは「政治家があまりにひどくて、ほめようがない」のか、それとも「けなされてばかりいる嫌われ稼業だから、まともな人が政治家にならない」のか、どっちがニワトリでどっちが卵なのかわからないが、とにかく日本のマスコミはおよそ「成果をほめる」ことをしない。政治家をこき下ろすことが「表現の自由」だと思っている業界だから仕方ないのだが、それを補完すべきネットの世界でも、「系統だって信用がおける」サイトで、けなすばかりでなくほめるべき成果をバランスよく書いているサイトというのを、私は知らない。どなたかご存知だったら教えてほしい。悪いことやったらけなすのはいいけれど、ポジティブに評価すべきところはちゃんと書いてあげないといけない。政治家の揚げ足取りばかりしている記事を読んで、それでも自分の子供を政治家にしたいと思う親は・・・まぁ、自分が政治家である人ぐらいじゃないだろうか。そういう人なら、「長年の経験で、どういう対処をすればいいかわかっている」からだ。ちなみに、「ほめる」ことの最も基本的なやり方は、「投票」である。でも、それだけじゃ足りない。

世襲制限もまぁいいけど、そうやって何でもかんでも禁止にしちゃう「禁止脳」が跋扈すると、若い人は萎縮するばかりだろう。悪いところを指摘したり禁止したりするなら、同時にいいところを伸ばせるような仕組みも必要だろう。