続報デジタルTVドタバタ劇 ベライゾンとAT&Tは共闘しないようだ
先日の続報。ベライゾンは予想通り、アナログ停波延期に対し「徹底抗戦」の構えだが、AT&Tは「90日ぐらいなら、遅れてもいいんじゃなーい?」との立場だそうだ。
http://money.cnn.com/news/newsfeeds/articles/djf500/200901121810DOWJONESDJONLINE000661_FORTUNE5.htm
このあたりの政治駆け引きの構造は私は苦手なので、どうしてこういう微妙な違いが出るかはわからない。専門家の方がおられれば、是非解説してほしい。実質的には、AT&Tの言うとおり、この段階で2−3ヶ月遅れても大きな支障はないように思えるので、ベライゾンの「徹底抗戦」は、実質的なダメージというより、「約束事を政治の力で変えられてしまう前例を作りたくない、オバマ政権の鼻っ柱を最初から叩いて自分の怖さを知らせておこう」、一方AT&Tについては、「ここでオバマに対して貸しを作っておこう」という感じに読めるのだが、そういうことでいいのだろうか?
前のエントリーにも書いたように、日本とアメリカでは「デジタルTV移行」という事態は同じでも、その背景にある力学は少々違う。私の立場から見ていると、アメリカでは圧倒的に、電話会社の「電波をよこせ」力と、政府の「跡地を競売したらお金ザクザクでウッハウハ」力でおもにモノゴトが動いているように見えるので、「デジタル移行」に反対する立場は日本よりも弱いと思う。そこで抵抗勢力はオバマを担ぎ出したわけで、推進勢力としては政府自身が「お金ザクザク」を前面に出すワケにもいかないので、電話会社が看板をしょっている。(といっても、税収が減りそうなのに不況対策のお金がたくさん必要なこのご時世、電話会社からお金を政府が吸い上げることに政治的にはあまり問題がないような気もするが・・)
大幅に移行を遅らせることによるダメージとメリットを比較すれば、直接打撃を受ける消費者の数の少なさからしても、どう考えてもダメージのほうが大きいので、「大幅な遅れ」はないだろう、と前回書いたワケだ。そこで、ベライゾンとAT&Tがこう出てきたので、落としどころとしては、「90日以内の短期延期、その間に未使用クーポンの分を追加発行する」とかそういうあたりになるんじゃないか、と思ったりしているのだが。
日本では、電波競売がないために政府の「お金ザクザク」力がなくて、衛星テレビやケーブルテレビの普及率が低くてアナログ率が高いことから、抵抗勢力の力がアメリカより強そうだ。一方、推進派は電話会社だけでなく、テレビのハードを売りたいメーカーの力も強い。双方ともにアメリカより戦闘力が高そうなので、バトルはもっと盛り上がることだろう。
まーでも、そうやっている間に、したたかなベライゾンとAT&Tは、着々とLTEを建設する。「ケータイ業界では、欧州の人も日本の人も、アメリカのことバカにしてるけど、ホエづらかくなよ、次のフェーズではわしらが一発逆転したるわい」・・・とベライゾンは思っている、かもしれない。