「おくりびと」への遠い国からのメッセージ

日本では、「おくりびと」のオスカー・フィーバーは一段落していると思うが、アメリカではこれから商業公開で、先月から来月にかけてあちこちで映画祭などで上映予定があり、来週もサンフランシスコとニューヨークであるし、ここしばらくロスでも日本映画祭でやっていたはずだ。

そういうわけで、完全に手抜き状態の、私の英語による日本映画ブログ「邦画セントラル」でも、上映のお知らせがあるとなんとかそれだけは流すようにしている。アメリカでは外国映画は全く日陰の存在だが、「アカデミー外国映画賞作品は、コンスタントに数百万ドル(数億円)*1は売れる」という話なので、そのぐらいはいくんだろう。黒澤映画の時代はともかく、データのそろっている90年代以降ぐらいで、日本の実写映画で百万ドル行った作品はないと記憶しているのでShall We Dance?」ぐらいしか思いつかないので*2 *3、たいしたものだ。

アメリカだけでなく、世界各地で徐々に公開されているようで、今日はイスラエルの人が、私のブログに感想を書き込んでくださった。その方は、72歳で、イスラエルで葬儀の仕事をされているのだそうだ。親の代からその仕事をやっているのだが、最近辞めることにしていた。ところが「おくりびと」で遺体を清める場面を見て、自分の仕事が誇るべき「聖なる仕事」であることを再認識し、仕事に戻ると決めた、ということだった。きっと、彼はすごく感動したのだと思う。そして、どこかで誰かに言わずにいられなくなって、私のブログを探し出して書いてくれたのだと思う。

遠く日本の映画が、もう一つの遠い国イスラエルの人にこんなふうに受け取られ、それがアメリカにいる私の辺境ブログにひっそりと出現するって、なんだか不思議な出会いのような気がしてしまった。いろんなメッセージがいろんな形で、いろんな人に届くものなんだなー、と、ちょっと遠い目になった。

*1:劇場売り上げのみ

*2:少し前に調べただけなので、違ってたらご指摘歓迎。アニメでは、ポケモンジブリなどが数千万ドル規模まで行った

*3:ご指摘いただいたので調べたら、おっしゃるとおりShall We Danceは900万ドルぐらいでした。桁をひとつ間違って記憶していました。ご指摘ありがとうございます。