ハイチ状況 通信関係の話題と我が身を振り返る

ハイチに関しては相変わらず日本では低い扱いのまま、それでも一応被害情報が流れているようなので、私は通信・携帯関係で気がついた情報を少々まとめてみる。

  • モバイル寄付

日本では、「ハイチに千羽鶴を送ろう」というmixi活動が広がっているとの記事がtweetで流れてきたのだが、いくらなんでもこれは、ごく一部の話を「イイハナシダナーという大衆受け」を狙った新聞が取り上げたものだ、と思いたい。空港も港も大幅に機能低下して、あらゆるモノの流通が麻痺しているハイチに、気持ちはわかるけど現実には何も役にたたない紙の塊を送りつけることに割けるリソースはない。

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1391165.html

「私でもこれぐらいならできる」という、ささやかな善意を送り届けるなら、少額でもいいから赤十字などに寄付すればいいと思うのだが、どうやら日本では、オンライン寄付があまり便利にできていないらしい。アメリカでも、まだまだネットを使ったオンライン寄付は、「クレジットカードがないとだめ」(クレジットカードを持てない所得層の人は多い)といったハードルがある。

そこで、モバイル寄付。以前の記事にも書いたように、番号とテキストだけを打ち込んで送れば、自動的に10ドルが電話請求書から引き落とされる形式の「テキスト寄付」なら、パソコンもスマートフォンも必要なく、誰でもどこからでも手軽に寄付を送れる。集まった寄付の総額については、ソースによって異なる額の数字が見られるが、下記の記事によると3000万ドルを超えたとのこと。

MSN Japan - ニュース, 天気, メール (Outlook, Hotmail), Bing検索, Skype

日本では、アメリカよりももっと携帯普及率が高く、Mコマースもおサイフ機能も発達していて、なんでもお買い物ならできるのに、たったこれだけの原始的な寄付集めのシステムすらできないのだろうか?千羽鶴を折る行動と同じぐらいの手軽さで、携帯からお金を寄付できるんだったら、そうしたい優しい気持ちを持っている人はいくらでもいるんじゃないだろうか?

大携帯先進国にあって、この状況は、業界の端っこにいる人間として、問題だと思う。なんとかしなければ、と思う。

一方、使用済みの携帯電話端末を寄付し、リサイクル事業者に販売することでお金にし、寄付をしよう、という試みもある。

http://www.fiercewireless.com/press-releases/phones-haiti-cell-phone-recycling-program-launched?utm_medium=rss&utm_source=rss&cmp-id=OTC-RSS-FW0

  • 貴重なリソース、電源

無線塔も多くが倒壊して、固定電話も携帯電話もほとんどダメになったはずだが、それでもどうやら携帯電話の機能は少しずつ回復しているらしい。そこで、問題は携帯端末の充電。現地のラジオ局では、生きている電源を開放して、被災者が携帯を無料で充電できるようにしているという。電源に群がり、列をなして充電の順番を待つ人々の写真が、通信専門ニュースサイトに載っていた。

Scenes From Haiti: The Wait to Communicate | Light Reading

スクロールすると、ロシアの救助隊に助け出されたハイチ電話会社の社員の写真など、他にも写真があるのでご興味あるかたはどうぞ。

水、食料、医療のニーズが一段落したら、次は社会インフラ機能の回復が問題になる。

  • 海底ケーブル被害状況

ハイチは島国であり、このあたりの国のインターネット・トラフィックアメリカがハブとなっているので、ネットのトラフィック状況は、海底ケーブルの状況に左右される。地震直後のTelegeographyの記事では、バハマ経由の海底ケーブルが切れたという報道があったが、他の経路は生きているらしく、ISPは動いている、とのことであった。

X-change Mag – Exchange your Dates

シリコンバレーだけでなく、アメリカ各地で、エンジニア達が自発的に集まり、被害情報を集めるウィキや地図情報、英語とクレオール語の翻訳サイトなど、支援団体が利用できるようなシステムを作っているということだ。上記のように、被災者はネットの接続がない状況ではあるが、アメリカなど他の国からはいっている救援隊、医師、インフラ技術者など、いろいろな人が利用できる。

Tech camp yields programs for Haiti - CNN.com
CrisisCommons – Connecting people, tools & resources to support crisis response

  • 電話会社

ベライゾンがハイチ向けの国際電話を期限限定で無料にしたり、マイアミにあるハイチ出身者のコミュニティ向けに無料電話を提供したり、現地の電話会社に復興支援をしたりなど、電話会社もいろいろ頑張っている。

Verizon temporarily waives charges on calls made to Haiti | FierceTelecom