Twitter授業を試してみた

当地時間で昨夜(日本時間で昨日午後)、「Twitter授業」の試みにお誘いいただいた。

公文俊平先生の多摩大学での授業の中で、私の著書「パラダイス鎖国」のブックレポートをする学生さんがいるので、Twitterで発表の経緯を伝え、私がコメントをつけるということになった。多地点間テレビ会議システムによる遠隔授業というのは、ときどき九州大学(九大の複数のキャンパスと横浜市大に向け、九大シリコンバレー事務所からレクチャーする)でやらせていただいているが、そのような機材もなくてできる、手軽なTwitterでやってみよう、というご提案を、公文先生からTweetでいただいたので、やってみることにした。

まずは、私のほうでは、関連Tweetをリアルタイムで見られるように、特定ハッシュタグTweetが自動スクロールで見られるいいビューワーがないか、Twitterで「緩募」してみたところ、「Tweet Bubbles」のご推薦をいただいた。やってみると、なかなかかっこいいのでこれにしようか、と思ったが、このアプリから自分のコメントを書き込もうとすると、クリックするボタンがすごく小さく、書き込むとそこまで流れている会話の「バブル(吹き出し)」が消えてしまうし、双方向で使うにはやりづらい。しかも、Tweetが表示されるまでの時間が、他の方法と比べて遅い(ひょっとしたら日本にサーバーがあるからかも)。それで、バックアップのモニター専門として流しっぱなしにしておくことに。

普段はEchofonのFirefox版とiPhone版、BlackberryではUbertwitterを使っているが、これらではハッシュタグがリアルタイムで拾えない。早タイプしないといけないので、iPhoneBlackberryも最初から論外。

結局、よくわかんないので、本家Twitterウェブサイトのハッシュタグ画面と、多摩大側の担当の方が作成してくださった、授業出席者の「Twitterリスト」をリフレッシュしながら、Tweet Bubblesと画面隅でEchofon Firefoxもモニターしながら、タイプは本家サイトのハッシュタグ検索画面から打ち込むことに。

さらに、音声でのやりとりにそなえ、Skypeも準備。当方は、パソコン2台、モニター3台にマイクつきヘッドセット、というだけの装備であった。

さて、Twitterでもあるので、公開していいですよ、とのご了解をいただいたので、事前にTwitterで告知しておいたが、なんと時差の計算を私が一時間間違えていた・・・私自身は、事前に余裕をもって、と思って早めにスタンバっていたので事無きを得たが、私の告知を信じていた方にはご迷惑をすっかりおかけして、申し訳なかった。

授業の中味のやりとりは、実際のTweetを見ていただくことにして、なんにせよ、アメリカにいる私が、特別な装備もなく、授業に「リアルタイムで少しでもかかわる」という感覚は面白かった。学生さんたちがどのような感想を持たれたかわからないが(多摩大側の装備もよくわからないが、受講生は自分の端末でTweetを見ていたはず)、興味深い。

一方、問題点もいくつかあった。

  1. 私のほうで一番問題だったのは、ハッシュタグを入れていても、反映されないTweetがあることだった。しかも、肝心の公文先生のTweetが、本家のハッシュタグ検索でもTweet Bubblesでも、全く拾えないので、授業のtsuda式中継が動いていなかった。その前のスペースが全角だとダメということではないかと思う。幸い、バックアップの出席者リスト側で見られたのでなんとかなったが、一方で今度は出席者なのにリストに入れ損なっていた人の分はそちらには反映されない。今回のように、いろいろバックアップを用意しないと、やはりダメ。
  2. 授業進行に関しては、「司会」役の先生が自分でtsudaるというのは、どうもやはりあまりに大変だったようだ。リアルタイムの議論を文章に落とすのは、津田大介さんの著書にも「ノウハウ」が記載されているが、やはり訓練のいることであり、ましてや、司会と一緒では無理だろう。慣れた中継専門の担当者をおくべきだろう。
  3. また、Twitterは完全な「リアルタイム」じゃないな、というのも痛感。複数の画面(検索画面、Bubblesなど)にTweetが出現するまでの時間を見ていると、それぞれかなりのタイムラグがある。それも一定のタイムラグでなく、ゆらぎがある。ついつい「チャット」の感覚でやると、イライラしてしまう。これはチャットじゃない、と言い聞かせながらやらないといけない。
  4. 別の方法としては、Skypeでつなげて音声を流しっぱなしにしておき、少なくとも私には音声での発表や議論がすべて聞こえるようにしてもらえれば簡単だったと思うのだが、直前にSkype案が出て、授業の準備でバタバタしているときにSkypeで呼び出すこともできないままだった。次の機会があったら、ぜひSkypeで音声だけでもモニターしたいと思う。
  5. もう一つ、私がついつい、かなり活発に発言した上、授業の最後にはまとめて言いたいこと(本当はこれはSkypeでしゃべるつもりだったが、時間がなくなってしまい、授業が終わってから勝手につぶやいていた)を大量にTweetしたので、普段フォローしている友人から「連投が鬱陶しかったのでunfollowしたよ」と言われてしまった。以前、津田さんが会議をtsudaっていたときも私は同じ感想を持ったので、こういうのを「別扱い」にしたり、しばらくの間、この人は「mute」するという機能でもあるといいな、と思う。
  6. オープン状態でやったのだが、誰が受講者で誰が外部の人なのか、私には全くわからず、なんとなくカオスな感じもあった。外部から飛び込み参加した方も、どうやって飛び込むべきか、悩んだのではないかと思う。

まぁ、かなり素人の私が、Twitterの本来の機能からかなり外れた使い方をしているので、いろいろ不備は仕方ない。Twitterでやるのがベストかどうかは、今回を見る限りなんとも言えない(完全クローズドの環境でよければ、チャットのほうがやりやすそう)が、とりあえず試してみたので、皆様のご参考に。なお、ハッシュタグは#tmssなので、中身のやりとりにご興味あるかたはそれで検索してほしい。ただし上記のように、拾えない発言もかなりあって、全部は見られないが、とりあえず後でも検索できる、というのもメリットのひとつと言えるだろう。

いずれにしても、面白い試みにお誘いありがとうございました。