日本型Android、「逆ホンダ戦略」?

先々週、AMNのイベントに初めて参加させていただいた。ドコモから発売されたHTCのAndroid端末HT-03Aの発表イベントだったのだが、現在休暇中でネット接続環境すらないことが多く・・・記事を書くのがすっかり遅れてしまった。プロダクト情報詳細については、他の皆様のブログにてすでに読まれていることと思うので省略。私の感想部分だけを記しておく。

すでにアメリカでもちょっと見せてもらっていたハードウェアは、初代HTC Android端末であるG1と比べて薄型でずっと洗練されている。iPhone風の大きな画面のタッチスクリーンでも使え、またBlackberry Pearlを使い慣れている私には、Pearlと同じトラックボールのほうが使いやすかった。手にもったしっくり感や片手操作の使い勝手は、日本風携帯とアメリカ風スマートフォンのちょうど中間の感覚。初代はかなりGoogleのAndy Rubinの意向が色濃く盛り込まれているという印象(特に、意味もないのにカチャっとスクリーンはねあがるところなど・・)があったが、今回のものはそこから離れ、むしろ「ドコモ風」になっているように見えた。HTCに対してドコモの意向がどの程度影響したのかちょっときいてみたが、もちろん答えは「いや、ドコモでなくHTCがデザインしました」というお答え。また、初代に対する不満としてよく聞くのが「バッテリーがもたない」という件だが、これについては「大幅に改善されている」とHTCの皆さんは強調され、また端末には替えバッテリーまで同梱されている。ははは。

中身については、かなり「電話」に近かった初代G1よりも、「ネット端末」により近くなってきた印象。というより、iPhoneが「アップル/iTunes最適化端末」、Kindleが「アマゾン専用端末」であるのと同様、まさに「Google用の端末」。確かに、AndroidはオープンOSで、誰でもGoogleAndroidアプリを配布することができる。しかし、基本的には最初にGoogleアカウントでセットアップし、Gメール、YouTube、カレンダーなど、グーグルの世界が使いやすいようにできており、「ケータイするGoogle」として位置づけられている。

例えばBlackberryでYahooのカレンダーと同期して使う場合では、デスクトップの同期と同じ使い勝手だが、このAndroid端末では、Googleの「クラウド」にあるデータを直接端末で取り出して使う、「クラウド端末」だ。

こうした「グーグル主導」の世界は、これまで通信キャリアとはなかなか相容れなかったが、今回日本のトップ・キャリアであるドコモ(といっても、いつものように必ずしも一枚岩ではないようだが)が敢えて「ガラパゴス脱却」を目指して提供する、というところが、私には興味深かった。アメリカでは、Androidは4強ドンケツのT-Mobileからしか出ていない。

ケータイはフォームファクターが第一、という私の信条からすると、だいぶよくなってきたことは間違いない。ユーザーインターフェースは、慣れが相当にモノをいうので、相変わらず日本の携帯電話を使い慣れたユーザーにとってはまだいろいろと不満が多いだろうが、携帯電話として考えるのでなく、スマートフォンまたはデータ端末として考えればかまわないと思う。

ただ、AndroidiPhoneと比べ、アプリなどの提供側にとってみれば「お金」のにおいがまだ今ひとつ足りず、ユーザーからの引きもiPhoneのカルト的人気とは全くレベルが違う。(ただし、まだ課金についてははっきりせず、ドコモが得意の課金機能を生かして提供するらしいが)アメリカではiPhoneがあまりに強すぎ、根強いユーザーを持つBlackberryPalmもひしめいている。だから、その昔の「ホンダ」や「ソニー」の逆をいき、iPhoneがそれほど強くなく、またスマートフォン市場が未発達な日本でまずビジネスにしよう、ということなのかな、とやや穿った見方も頭に浮かんだり。

いろいろ、皆さん戦略を試している。面白い世の中ではある。