アナログ停波前夜、やっぱりドタバタが始まった

これまで比較的静かに進んでいたアメリカのTV地デジ転換だが、ここへ来てあまりにお決まりどおりの騒ぎが始まった。

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アナログテレビしか持っていない人がデジタル・コンバーターを安く買えるように、政府が補助金を出すプログラムがあるのだが、このために用意したクーポンが底をつき、最近のクーポン申請者は無期限の「空席待ち」リストに入れられている、とのニュースが少し前に出た。クーポンは有効期限90日で、配られたけれどまだ使われていないクーポンが相当数あるので、期限の切れた分を新規申請者にまわす、ということをやろうということだろうが、アナログ停波は来月なので、もう間に合わない。しかし、クーポン枚数は、法律で決まった補助金総額予算までしか出せないので、これ以上の新規発行はできない。それで、とりあえずアナログ停波期限を延期するようにオバマが議会に提案した。バックについているのは消費者団体だ。

地デジ・コンバーターのクーポンについては、下記のエントリーを参照。

地デジ・コンバーターがやってきた - Tech Mom from Silicon Valley

しかし、アメリカ政府はアナログ跡地をすでに高額で携帯電話用に競売してしまったところでもあり、停波を延期したら、跡地を買ったベライゾンAT&Tの有能な弁護士が、「予定どおりに設備建設が進まないじゃないか、約束違反だ、ウン十億ドル違約金払え」とか言い出しそうだ。もともと、クーポンの数がアメリカ全家庭にいきわたるだけあるワケでもなく、クーポン申請→購入→接続、という手間はかなりかかるので、こうした混乱は当然予想されていた。そこに今更時期を変更というのも、ビジネス的に見るとあまり勝ち目のない戦いに見えるのだが・・・

実際にアナログ停波でもろに影響をこうむる人の数はたいしたことがないのだが、そういう人はだいたい低所得層であり、彼らの意向を受けてオバマがこれを言っているということは、政治的にはそう簡単に引っ込みがつかないだろう。オバマを引っ張り出したのは、ベライゾンたちを黙らせるため・・・ということかな。それでも、そんなに長期の遅れはないだろうな・・という気がしている。

我が家にとってはまるっきりどうでもいいのだが、無線利権をめぐるオバマ政権の動きの第一歩、という感じもするので、ちょっと気になっている。ベライゾンAT&Tは、この不況の中、比較的ダメージが少ないので、不況を逆手にとって今のうちに機器メーカーから設備を安く買い叩いて設備建設しておき、サービスが開始される頃には景気も回復しているだろう・・ウハウハ・・・なんて考えていそうな気もするしなー。さて、どう出るか・・・