出版の「ロングテール」を実感、「ブロガーの書く本」

中嶋さんが、本を書かれるらしい。

Life is beautiful: アルファ・ブロガーはなぜ本を書くことになるのか?

・・で、実は私も今本を書いている。秘密にしていたワケではないが、ちゃんと書きあがるか不安だったので、なんとなく言いそびれていた。

タイトルは、もちろん「パラダイス鎖国」(爆)。Ascii出版から3月11日発売、と決まった。みなさん、宜しく。

私はアルファブロガーではなく、せいぜい「ベータブロガー」程度なのだが、それでも本を書くことになったのは、中嶋さんが仰っている「出版社にとって、お得意さんをかかえたブロガーは低リスク」という話のほかに、もう一つウラがある、と書いていて痛感した。

今、日本は出版不況と言われているけれど、新書というのは例外的に売れているのだそうだ。私の本も「アスキー新書」。で、この新書というのは、郊外の駅の本屋で買って、電車の中で読んで、都内の目的地に着く頃には終わるほどの軽さなのだが、安いからあまり抵抗なく買える。読み捨てみたいな本なので、壮大な人生のなんたらとかいう話でなく、季節モノの旬な内容のものが出せて、またそういうのが受ける。雑誌の記事よりはまとまっていて、一冊ずつお金をとって売れるけれど、従来のハードカバーの本のような長いライフサイクルはない。

ということは、書くほうも短期間で書いてドンドン出していかないと、あっという間に旬が終ってしまう。生鮮食品みたいなものである。人気も実績もある作家に、じっくり書いてもらうだけでは間に合わない。それで、当たるも八卦で、新鮮なライターをたくさん探して、どんどん書かせる必要がある。そんな中で、ブロガーはすでに、ネタがブログで蓄積されているので、時間をかけてインタビューや取材やリサーチをしなくても、ある程度書ける。

つまり新書とは、書籍の世界における「ロングテール」であり、雑誌の記事やブログをもっと小さくて数の多い「ロングテール」とすれば、そこから頭ひとつ抜け出したけれどまだメインストリームではない「ミドルテール」なのだな、と思ったワケだ。

なんせ、書く期間が短い。本業のかたわらやっているので、本当にツラい。髪の毛がなくなって、残った毛は真っ白になりそうである。編集の方も素人作家相手だから大変だ。それを体験して、「ロングテールだなー・・・」と実感したワケだ。

ケータイ小説が話題になっているが、ユーザー生成コンテンツが、読者のコメントなどを取り入れた双方向の知識の蓄積を経て、一部が浮上して書籍として売れる、というプロセスは、私のようなブロガーが書く新書と共通である。そういう、エコシステムができつつあるようだ。