オリンピックをTVEverywhereで見て思ったこと
アメリカでは、有料テレビ各社(ケーブル、衛星、電話会社系)が「TVEverywhere」と呼ばれる方式を熱心に推進している。アメリカの有料テレビ業界の動向については下記参照。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101126/217294/
ギョーカイ人としてその存在は知っていたが、私自身はあまりテレビを見ないので、そのありがたみがイマイチわかっていなかった。でも、今回オリンピックで、ようやくちゃんと使ってみた。
アメリカではNBCがオリンピックの権利を持っているので、傘下の8つのチャンネル(地上波+ケーブル専門チャンネル)を使ってたくさんの番組をテレビ放映している。
今回はこれに加えて、NBCウェブサイトでかなり多くのライブおよび録画ストリーミングが見られるが、無条件では見られないのがミソ。契約している有料テレビのアカウント情報を入力しないとダメ。これが、TVEverywhere。この場合はコンテンツ・プロバイダーであるNBCが、各有料テレビ屋さんからコンテンツ料金を受け取る仕組で、ストリーミングが見られる。(有料テレビアカウントがあれば無料で見られる。有料テレビは既存の月額料金の範囲で、顧客サービスという位置づけ。)
ウェブサイトでは、availableな番組が一覧になっていて、ライブも録画もいろいろ。クリックすると認証画面が出て、アカウント情報を入れると動画が流れる。これのおかげで、アーチェリー、カヌー、卓球などといった、普通なかなかテレビには出してくれない競技も見られるし、サッカーの日本対モロッコなどという、アメリカ人的にはまるで興味のない競技でもライブで流れる。これはありがたい。まさに、ネット配信の威力が発揮されるコンテンツ。
それで男子サッカーを見ていてふと思った。この試合には、アナウンサーも解説もついていない。種々の統計や情報も出てこない。画面左上にスコアと経過時間がずっと表示され、選手交代のときに誰と誰が入れ替わるかが出てくるぐらい。一応、画面は普通のテレビ放映と同じように切り替わりながら見せるし、会場の音声は流れているし、ゴールの後はスローでリプレイするが、相当に「プレーン・バニラ」な中継である。最初は違和感があったが、これはこれでよいかも、と思ったのだ。
アメリカのスポーツ番組は、解説や情報こそが面白いと思っていたのだが、フットボールのように解説がないと何が起こっているかすらわからない番組はともかく、サッカーは見てりゃわかる。昨日の女子サッカーは、解説者がアメリカのプロ女子サッカーの選手だった人で、日本選手でもアメリカのプロリーグでプレイしていた人のことは自分の経験として話をするので、これはこれで面白かったが。
だいたい、アメリカのテレビのオリンピック番組は、選手のお涙頂戴ストーリーをドキュメンタリーにして作って流すのが大好きだが、これ超ウザい。その時間、肝心の試合やアメリカ以外の選手みせろや。とイライラするのが常だったので、それよりプレーン・バニラのネットキャストのほうがいい。
なにしろ、あまりにチャンネルも多いし、どの時間に何をやっているか調べて録画するなどという面倒なことを、私ができるわけない。ずーっと録画していたら他のものが見られない。その上、お涙頂戴。そのおかげで、すっかりオリンピックを見なくなってもう何年にもなる(いつからかすらよく覚えていない・・とにかく北京は一かけらも見なかった・・)が、今回はなんとか、見ようと思えばいつでも見られるようになったので、少しは見る気力がおきた。
まぁ、私のような視聴者はテレビとしてはあまりありがたくない視聴者なので、来て欲しくないのかもしれないけれど、ケーブルには毎月すごい料金払ってるんだから、これぐらいやってくれてもよいわな。