Web2.0Expoに見る「イケメン率低下現象」と「バランス感覚」

 ←無気合ファッションのTim O'Reilly(頭に角つけたら般若・・)

先週、Web2.0Expoに、2年ぶりに行ってみた。といっても、最終日にキーノートを聞いただけで、展示ももう終わっていたし、ワークショップも行かなかったのだが。

だから、人が少なかったのは仕方ないのだが、なんといっても寂しかったのは「イケメン率の低下」である。振り返れば、2007年の「リーマショック前」のWeb2.0 Expo会場は、スピーカーも一般参加者も、ファッショナブルな人やイケメンが多かった。

Web2.0 Expo 雑感 - Tech Mom from Silicon Valley
Web2.0のイケメン化に見るキビシイ現実 - Tech Mom from Silicon Valley

今年はちょっとだけしか見ていないのだが、思わず「どいつもこいつも、ギークなのはわかるけど、せめてもうちょっと気合のはいった服ぐらい着てくれないもんかねぇ・・」と、自分のことをすっかり棚にあげて溜め息。上記エントリーにコメントされているように、「ギークのイケメン化現象」が「広告・メディア系の人が多くなったから」だとすると、今回の「イケメン率の低下」はまさに、「リーマン・ショック以降の広告型ウェブの低調」を反映していると言える。イケメン率話の奥は深いのだ。(キリッ これでは、せっかくのWeb2.0Expoも、そのへんのテックイベントと同じになってしまってつまらない。

さて、本題である。Web2.0という言葉をつくった張本人であるティム・オライリーのスピーチは、ウェブ世界の「独裁化」への危惧を表明し、それに対して「君たち開発者は、そうならないようにがんばらないといけない」と呼びかけるものだった。グーグルとアップルという具体的な名前を挙げ、「tyranny」というそのものズバリの言葉を使って、だ。

特に槍玉に挙がったのはグーグル。ちょうど、ウォール街投資銀行が、お客さんのトレードを仲介する立場から、自分のアカウントでお客を相手に売買するようになってしまったと同じように、従来、他のウェブサイトの検索・アグリゲーションの立場であったグーグルが、お客であるべき他のサイトの分野に足を踏み入れ「自分のアカウントで売買する」ようになってしまった、というのである。

この2社の他、アマゾン、フェースブックマイクロソフトなど、この業界での大物を比較して、それぞれ強みと弱みがあるから、それぞれに補完しあい連携してウェブの世界は成功してきたのではなかったかのか、と続く。

考えてみれば、今回のWeb2.0Expoのプラチナム・スポンサーはマイクロソフト。ゴールド・スポンサーはアドビ、IBMエリクソンなど。なんだか、「アップル・グーグル包囲網」みたいになってきている。少し前には、グーグルがWeb2.0の旗頭のような存在だったのに。

だから、オライリーの言うことが完全に中立ではないし、シリコンバレーギーク言論界がすべてそうだとは言わないが、ここしばらく、いろいろなギーク・メディアで、似たような雰囲気が感じられる。オライリーは、そもそも上記のようなバランス感覚から、これらの企業にスポンサーを依頼したのかもしれない。経緯はわからないが、こんな「シリコンバレーのバランス感」が感じられたスピーチであった。