明治維新って、こんな感じだったのかな

オバマの記事や報道を見ていて、「もしかして、日本の明治維新で、ペーペーの下級武士だった伊藤博文とかがいきなり首相になった時って、一般庶民から見たら、こんな感じを受けたのかな?」などと考えている。オバマの演説の中で登場する、百歳のおばあちゃんの経てきた時代の流れと、全米各地での祝勝騒ぎの様子を思ってみたら、ちょっとそんな気がしたのだ。

明治維新当時の一般庶民は、何百年も続いてきた徳川幕府がなくなるなど、考えもしなかっただろう。でも、長い時間かけて、水面下ではいろいろと世の中が変化して、それまで全く数にはいっていなかった人々が徐々に経済力や影響力を持つようになって、それまで支配階級だった人々が影響力の面でも少数派となってしまい、ある日気がついたら体制まで変わってペーペーが首相になった。「彼」を支持する人々の区分が、「長州藩」とか「下級武士」とか、そういうちっちゃな区分じゃなくて、気がついたら他の分け方になって、実はたくさんの人が彼の属するグループを持ち上げる勢力となっていた。「あれ?なんだ?」とか言っている間に、本当に将軍も武士もいなくなってしまった。

そういえば、アメリカの南北戦争(1861-65)は明治維新とほぼ同時期で、「ラスト・サムライ」の舞台になった時代。その後黒人差別に対する「公民権運動」が始まるまでちょうど100年かかっている。キング牧師の有名な「I have a dream」の演説は1963年だ。当時、黒人は投票すらできなくて、「士農工商」のどんけつにいたようなものだ。それからさらに45年で、「大貧民」の大逆転のごとく、有色人種が大統領に選ばれた。

「黒人」とはいえ、実はオバマを持ち上げているのは、もっと違う区分の人々で、水面下で何かが変わっていつの間にかこうなったのだろう。この8年間の「保守反動」の時代の間、私には到底信じられなかったのだけれど。まだこの先も、ゆり戻しがあるのだろうけれど。

それにしても、内乱も暴動もなく、ネットも最大限に利用してお金を集め*1支持を訴えるという、きわめて平和的で合法的で合理的な方法で、政権移譲が行われるという、現代の先進国に生まれてよかった、とつくづく思ってしまう。昔なら南北戦争戊辰戦争だったし、公民権運動の時代は騒然としていたし、今でもこうはいかない国が世界には多すぎるから。

蛇足ながら、昨日の敗戦宣言を見て、マケインってかわいそうなヤツだったのかも、と思ってしまった。なんだか、ディベートのときと比べて、「ようやく本来の自分に戻れる」といった、さっぱりしたような顔していた。「共和党」候補としての役割を押し付けられ、自分の意に反して「保守アメリカ」に対して受けるようなことを言わされていたのかも・・それでご乱心してペイリンになっちゃったのかも・・・

*1:亭主のお気に入りは、オバマの「iPhoneアプリ」。無料アプリなのだが、中にはいるとちゃんと「寄付」ボタンがついていた。