G1はよくも悪くもWeb2.0

テクニカルなレビューは、日経BPさんや、他のブロガーの皆さんのほうが適切に書けると思うので、私はコンセプト・レベルで、昨夜触ってみたG1の印象を語ってみる。

  1. まず、「携帯電話と男フォームファクターが第一」が標語の私としては、とりあえずG1には及第点をあげたい。思ったより、持った感じのしっくり感がよいし、「パカッ」とあけるときには、普通のHTC製のスライド式キーボード携帯が、ただまっすぐスライドするのと比べ、いったん横にずれてから上にはねあがる感じの独特の感覚。同じT-MobileのSidekickっぽいのは当然。Sidekickを作ったDanger社出身のAndy Rubinがグーグルに移って作ったワケだし、情報筋によると、ハードウェアはHTC(台湾のメーカー)が作ったといっても、グーグル(=Andy)の意向が相当強くはいっているらしい。入力キーボード部分が、ある意味「奇をてらった」iPhoneと比べ、ものすごく「トラディショナル」な感じがするのも、SidekickのDNAが感じられる。
  2. Sidekickは、そういうわけでヘビーにテキストを入力するワカモノ向けのガジェットなワケだけれど、G1もその意味で、「入力用」の機械だ、という感じがする。それは、iPhoneと隣同士で比べてみるとますます違いを感じる。iPhoneのほうが、画面が大きくて美しくて、容量も大きくて、iPod用のダウンロード・コンテンツや、ウェブサイトを「見る」ためのビューアー、つまり「出力用」としてははるかに優れている。でも、iPhoneはテキスト入力がやりにくく、タッチスクリーンでの指による操作は、おおまかなところはいいけれど、細かい作業がやりにくい。G1では、テキストはハードのキーボードでがんがん入力し、細かいカーソルをちょこまか動かしたいときにはトラックボールを使う、といった「入力」には、ここまで長年のスマートフォン発展の中で育ってきた「枯れた」ユーザー・インターフェースをそのまま採用している。今回のG1が受けた理由として、「iPhoneに不満のある人(特にテキスト入力インターフェース)のalternativeとして受けたのでは」というTWiT(テック系ポッドキャスト)の意見は正しいと思う。
  3. Android用のアプリは、まだ出たばかりなので少ないし、YouTubeを見ようとしたらブラックアウトした。(たぶん、我が家近くはT-Mobileの3G電波が弱いためタイムアウトした)種々の機能のインターフェースはiPhoneのアイコンに似ているけれど、ちょっとまだ使いにくいところもある。電話まわりのキャリアとのインテグレーションはなかなかよさそう。しかし、この先、どんなアプリが出るか、マルウェアなどの被害が出るのか、出たらどうするのか(マルウェアをグーグルが消去できる「キル・スイッチ」がついている、との話があり、これも物議をかもしている)といった混沌がさらに待っている・・・

つまり、ひじょうにおおまかに言って、iPhoneがネットからダウンロードで買ってきたコンテンツやきれいなウェブサイトを見るのに適していて(=Web1.0的)、ちゃんと動くようにアップルがいつも監視しているのに対し、G1では、いいも悪いも混沌の中で、クラウドに「入力」することを第一に設計されたWeb2.0的な機械、という感じがする。その意味で、お値段と現時点の完成度のバランスを見るとiPhoneのほうがいい、という意見が多く出ると思うが、それだけでAndroidを判断しないほうがいい。なんせグーグルだし、G1は「ベータ」だと思っておくべきだろう。

で、昨夜入手したG1は、日経BPに拉致されてしまった。昨夜買えなかった場合の予備として、我が家近くの行きつけのT-Mobileショップで、一台私用に取りよけてもらっていたのを買おうと思えば今日買えたのだけれど、いろいろ考えたすえ、キャンセルして買わないことにした。自分で毎日使うものとしては、使い慣れたBlackberryがやっぱりいいんじゃないか、という気もするので、赤いPearl Flipが出たときにショップで比べて考えて、最終的に決めることにしている。製品の評価なら、私がしなくてももっといいこと書ける人がたくさんいるしね。

<追記>
とゆーわけで、このG1くんを拉致していったBPの中道記者による詳細なレポートは下記です。このあと、2/3と続いています。(拉致といっても、もともとBPさんがスポンサーで買ったもので、私は入手に協力して見せてもらっただけです・・・)

[Android端末使用レポート1]T-Mobile G1を入手,起動してみた | 日経 xTECH(クロステック)