ドル安、大迷惑!!

久しぶりに、日本とアメリカ以外の国に行った。お正月からメキシコのロスカボスに数日間の家族バケーション。いろいろ考えるところがあったけど、まずはひとつだけ・・・

ドルが安いことをまざまざと実感。アメリカにずっといると気がつかないけれど、メキシコですらあまりモノが安いという実感がなかった。その昔、ホンダやNTTにいる頃、何度か仕事で行ったメキシコの物価の感覚からすると、「もうあんまり安くないなぁ・・・」と思ったのだ。アメリカ系のホテルでモノが高いのは仕方ないけれど、街に出て食事したり買い物したりしても、昔のバカ安感覚はもうない。

・・と思っていたら、今朝のサンフランシスコ・クロニクルにも、その話が載っている。今回のドル安は、円よりもユーロに対してのほうが下がり方が大きい(2007年中に、円に対しては7%、ユーロに対しては10%下がった)ので、ヨーロッパから来る旅行者がものすごく増えているらしい。

この記事によると、2007年の間にニューヨークを訪問した外国人(カナダとメキシコを除く)は前年比15%増、マイアミは12%増、サンフランシスコは9%増。ニューヨークとマイアミはヨーロッパに近いし、もともとヨーロッパ人が好きな場所でもあるので、なるほどと思う。

ニューヨークに関して言えば、こうした風潮のおかげで、アメリカ国内からの旅行者にとってはますます高嶺の花になりつつある。おそらくは9/11で直撃されて以来の旅行者減少と、ここしばらくのアメリカ版不動産バブルのおかげで、ニューヨークのホテルは次々とコンドミニアムに衣替えした。たとえば、1985年の「プラザ合意」で有名なプラザホテルも、廃業して高級コンドになってしまった。室数の多い大きなホテルがなくなったおかげで、残ったホテルの料金はバカ値上がりした。マンハッタンのまともな場所にあるホテルに泊まろうとすると、相当のボロホテルでも300ドルは覚悟しなきゃならない。

それでも、おそらく海外からの旅行者にとっては、それほどの高値には見えないのだろう。高いにもかかわらず、こんなに旅行者が増えている。ますます高くなる。でも、ドルベースで生活している私にとっては、とてもたまらない。最近では、むしろ東京のほうが安い値段でいいホテルに泊まれる。ニューヨークからはすっかり足が遠のいてしまった。

過密のニューヨークで、新しく大きなホテルを建てようとしたら、まず用地がないし、用地を見つけても種々の許認可など、気が遠くなるほどの時間がかかる。いったんコンドにして販売してしまったものを、ホテルに戻すことはますますできない。

一方、大統領選挙が盛り上がっているが、アメリカの真ん中ヘンに住んでいる膨大な数の「マジョリティ」の人々は、海外との接触が全くなく、典型的な「パラダイス鎖国」なので、こういう感覚は全くわからないだろうと思う。前回の選挙のときも、両はしの東海岸・西海岸と、真ん中がはっきりと傾向が分かれたが、今回もきっとそうなんだろうな。

記事の中にも、南米のコロンビアから来た人が「モノが安い」と感激している話が出ていて、私がメキシコで感じたことは間違いではないようだ。10年前の超円高時代は日本の物価がやたら高くて困ったけれど、いまやドルが中南米通貨にすら負けちゃっているって、どーゆーこと??あー、ほんっとになんとかしてほしい・・・