CTIA雑感、特にソニーエリクソン端末の復活

それにしても、これほどキーノートのつまらないCTIAは初めてだった。これまでも、中身があんまりないなぁ、と感じることはあったけれど、それでも一応は大手メーカーやキャリアのトップが出てきて、顔を見に行くかという価値はあったけれど、今回はそれもあまりない。アメリカのキャリアはAT&Tワイヤレスがちょっと出てきただけで、iPhoneを得意気に出してきたが、「あー、それMacWorldでもう見たよー」(あくび)。「この人をナマで見てみたい」というセレブは一人もいなかった。直前まで顔ぶれが決まらず、モトローラエド・ザンダーはドタキャンするなど、どうもCTIAの内部のごたごたなのか、トップの人望不足なのか、展示会そのものの意味合いが低くなってしまっている表れなのか、ちょっと変な様子だった。

展示もキーノートも含めて、今年も目玉があまりない。私はいくつか、顧客の依頼の関係で見なければいけないものがあったのでそれなりに見たが、例えば3Gはもう展示の段階は終わったし、WiMaxやIMSはまだだし、映像系はhypeばかりで2年近く引っ張っているがまだニーズが伴わないし、モバイル広告や検索も話ばかりだし、ぽっかり隙間の中に落ち込んだ感じがする。

かろうじてこのところ元気なのは、スマートフォンと、あとは音楽端末やマルチメディア端末のハード・ソフトだろうか。

端末に関しては、このところ圧倒的な勢いだった韓国勢がちょっと減速気味に感じられた。他の人に話を聞くとそうは思わない人もいるので、私の個人的感想でしかないが、ブースも去年・一昨年よりも小さめだし、一言で言うと「ダサい」のである。

アメリカでも市場が飽和に近づき、料金プランよりも、端末の魅力で他社から加入者を奪うという、日本型端末ドライブのモデルに変換しつつある。いまやどのメーカーも、なんとかメガピクセルのカメラと、MP3と、あれとこれと対応していて、黒だけじゃなくてピンクも緑もあるし、そこではもはや勝負にならない。そうなると、微妙なデザインの洗練度や流行みたいなものが左右する、きわめて難しいマーケットになってくる。

その中で、ざっとラインアップを見て一番ステキなデザインの電話があるのが、ソニー・エリクソンだった。アメリカでは、欧州のエリクソン系のダサい電話がずっと売られていたのだが、端末の専門家に言わせると、ここへ来てソニーの家電で蓄積した小型化やデザインのノウハウがようやく生かされてきたのだそうで、確かに小さいだけでなく、魅力的な洗練されたデザインのものが並んでいた。「わー、キレイ!」なのである。

サムスンもLGも、小型やカラフルなものはたくさんあるが、ソニーエリクソンを見たあとだと、微妙にダサく見える。「RAZR」で人気を得たモトローラも然り。ノキアは論外。これは、アメリカの端末戦線も、日本のような大変さになってきたなー、と感じた。

それと、ここしばらく主流だったクラムシェル型(折りたたみ型)がちょっと影を潜め、薄型・細身のキャンディーバー型(非折りたたみ)で、ものによってはスライド式キーボードもついている、というのが復活していると思った。ソニーエリクソンのデザイン重視型ラインアップでも、クラムシェルよりバー型のもののほうがきれいだった。最近、1年前に買ったLGの折りたたみ式マルチメディア電話がすっかり遅れたものに見えるようになってしまった。悲しい・・・

iPhoneの来襲を、端末メーカーやキャリアが息を潜めて待ち受けている状況、なのかもしれない。ただ、全体としては、ワークショップなどでもiPhoneのことをあまり声高に語っておらず、業界としてはあまり危機感は感じられない。

ということで、ちょっと米国の携帯業界も踊り場かもしれない。この点については、また別のエントリーで詳しく書こうと思う。

あ、そうそう、昨日2日目のキーノートは、朝食ミーティングが長引いて前半は見逃したが、ヒップホップは一度も聴かずにすんだ。ほっ・・