無線と固定を隔てるものは「技術」ではなくて「人」

無線展示会「CTIA」に来ている。今日はまだpre-showなので、人もまばらで快適だ。

といっても、もう昨日から仕事は始まっていて、いろいろ人と会って話を聞いたりしている。まーちょっと、こりゃー大変だなー、と思うところもあって、これは説明するのが大変なのでまた改めて書くけれど、それにしても、無線の世界ってへんてこりんなところだな、と思う。

FMC、という言葉がある。Fixed Mobile Conversion、固定・携帯統合サービス。使う人によって勝手な使われ方もしていて、私のイメージとしてはきわめてヨーロッパの考え方のように思う。でも、この用語は使わないにしても、固定と携帯の統合、というテーマは日本でもアメリカでも、皆期待をもって取り上げている。どういう形で実現するかは、皆それぞれ違うイメージを持ちながら、同じ用語で話していたりするのだが。

で、かつて細分化されてベンチャーや独立系が跋扈していたアメリカでも、最近は携帯キャリアが固定大手であるベライゾンAT&Tの下に集約され、スプリント(+その他大勢)が独立系として残っている感じになっている。ベライゾンAT&Tも、当然固定・携帯統合をいろいろと試みているのだが、どうもうまくいかない。こちらで昨日酒飲み話で聞いた話によると、その最大の理由は「組合」だという。ほぉ、なるほど!それでわかった、とひとしきり感心。

日本では、例えばNTTなら組合は一つだからそれは問題ないが、やはり、中にいる人のカルチャーが、ドコモと本体ではだいぶ違う。かつて、NTTの「士農工商」の中では、「交換系」「伝送系」が上で、「無線系」という背番号の人は数も少なく、下層階級とみなされていた。それが今では、階級闘争で逆転が起こり、無線系が中心のドコモがグループの大黒柱になってしまった。NTTの内輪もめを見ていると、おさむらいさんたちには、町人の支配する世の中がどうも気に食わないように見える。ドコモも今では、本体出身者を大量に受け入れているので、無線屋さんの世界ではないのだが、こういった意識はどうも残っているような気がする。

無線には、技術的に独特の難しさもあるし、商売のツボが固定とは違う。そういった技術やノウハウの違いがあるため、無線の人は「専門化」する傾向がある。固定と無線を融合するための技術や、融合サービスがユーザーにとってどんなものになるか、といったことはいろいろ提案されているのだが、どれもなんとなくピンと来ないのは、両方ともちゃんとわかっている人、あるいは両方の人をうまく混ぜ合わせた企業、というのがあまりに少ないためではないか、と思ったりする。

問題は、技術ではなくて、人の距離にある。と思う。

閑話休題。このところ、CTIAというと毎年2日目にはヒップホップの人が壇上に登場するのが通例になっているが、今年はヒップホップを聞かなくて済むかな・・・CTIAのカルチャーって、ヒップホップとは最も遠いところにあるのに、だからこういうのを出してくるとカッコイイと思っているんじゃない、みたいな、おやじが無理して若いもんの流行語を使うみたいな、すごい違和感があるんだけど・・・