iPhoneとGSMとコンテンツの話

池田信夫さんの下記の話のからみで、ちょっと一言だけ。今忙しくてきちんと調べている暇がなく、脊髄反射で書いているので、勘違いなどあったらごめんなさい、という前提で読んでほしい。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/632c707ad31a5243aef5b3baa6d8c33f

まー、日本がGSMになるということはありえないのでそれはともかくとして、iPhoneが日本市場になかなか出てこないのは、GSMということだけじゃなくて、コンテンツが出てこないから・・・ということもあるんじゃないかとも思うのだけど、違うかな。もちろん、電話機能のないiPodは日本で売られているわけだが、アップルの全体の売上げの中で日本が占める比率は10%程度のはず。あまり大きなマーケットではない。しかも、私的に見てiPhoneの最大の魅力である「美しい大画面と表現力」を最大に生かせる「iTMS動画番組ダウンロード」が、日本ではテレビ局も映画会社もコンテンツを出し渋っていて全然進んでいない。どちらについても問題があるので、「めんどーくさい日本なんか捨てとけ」ってことになったのではないか。

コンテンツを出し渋る理由についての議論はまた別の機会にしておくが、とにかく、日本がインフラでははるかに先行しながら、オンライン動画商売ですっかりアメリカのほうが元気になってしまったのと同じ理由が、ここにも作用している、と私には思える。

もう一つ言えば、iPhoneのようなオープン型ウェブの機器を入れるのは、キャリアにとっては勇気がいる。アメリカでも、今さしあたり困っていないベライゾンiPhone導入に踏み切らなかった。シンギュラーは、合併後遺症でしばらくネットワークもガタガタだったし、携帯コンテンツでもまるっきり出遅れていたので、失うものがなく、ベライゾンへの対抗上の目玉として、あえてiPhoneを入れた。日本では、たとえドコモがGSMだったとしても、iPhoneは入れなかっただろう。KDDIだったら、微妙。ソフトバンクでは数が足りない。

<で、そのシンギュラーだが、ドコモと基本的には同じHSDPAを一部地域では導入しているにもかかわらず、この動画が美しいマルチメディア機器に、HSDPAを載せていないのだ。つまり、シンギュラーもそうは言ったって、ホントにオープンでやってほしくはないのだ。HSDPAを載せてしまって、その上でスカイプなぞやられたら困るから・・というのが業界筋の見方。つまり、対応ネットワークについては、妥協の産物っぽいのだ。このあたりが、あと何年かしてキャリアの筋肉がほぐれてきてHSDPAをやらせてもらえるようになったら、ようやく日本のHSDPAでも使えるようになる、かも。>

どれか一つの要素が違っていたら、少し時間はかかるが、日本仕様対応の機器ぐらい、やろうと思えばできるだろう。たいした数量出ていないブラックベリーだってパームだって、GSMCDMAの両方やっている。だいたい、ドコモはシンギュラーと比べて、加入者数ではちょっとばかり少ないだけなのだから。(ちなみに、2001年頃には、ドコモはシンギュラー・ベライゾン両社よりも多かった。今は、合併で大きくなったので、ドコモがこの3社の中で一番少ない。)

別に、iPhoneがなくても日本人は困らないが、なんかこれって、やっぱパラダイス鎖国じゃないのかな・・