ウワサのiPhone、見てきました

iPhone


例年、CES(家電展示会)もMacWorldも行かないのに、今年に限って両方ハシゴするはめになった。ラスベガスの公共インフラのキャパシティをはるかに超える規模のCESは、世界中からやったら人が集まっていて、会場は大混雑、タクシーもモノレールも長蛇の列、なんか雰囲気がとんがっていて、疲れるのでできることなら行きたくない。今日、サンフランシスコのMacWorldに行ったら、近くまで行ってもそれほど人がいないので、「え?もう終わっちゃった?」と不安になるほど。中も主に地元企業が多く、集まっている人も地元のギークっぽい人が多く、まったりしていてなんだかほっとした。

で、今日のお目当てはもちろんiPhone。実は、前に書いたように、iPodと電話をくっつけるなんて、うまくいくもんか、というのが持論の私。

Converged Devices その1:iPodは携帯電話と融合するか - Tech Mom from Silicon Valley

今日、会場でiPhoneのデモと実物を見た第一印象は・・・

「ごめん、私が悪かった。おみそれしました。」

デモを見ている最中は、「うわぁー、すご!」「へぇー、よくできてる!」とお口ぱっくり、節目ごとにプレゼンターが「で、電話の機能はこんな感じなんだけど、どう思う?」と呼びかけると会場は暖かい拍手の渦。まぁ、ここはマック教の教会だからね、当然なんだけど。

画面が大きく美しくなった分、表現力はこれまでのiPodに比べると格段に上がっているようだ。タッチスクリーンで、必要に応じて画面がどんどん変わっていくので、使える機能も豊富。フォントが自在に使えるので、ボタン類もわかりやすい表示ができる。完全なフルブラウザー、3G表示のGoogleMap、フォントやリンクなどが自動的に使えるメールなどの表現力はすごい。電話帳やカレンダーは、実は今のビデオiPodにもあるが、電話やメールとの連携もできるようになって、ようやく本領発揮である。

実物は、プラスチックのケースにはいってぐるぐる回って2台展示されているだけなので、触ることはできない。大きさは今のビデオiPodよりちょっと縦長・幅細で、もっと薄い。

お値段は4GBの安いほうで499ドル。今のビデオiPodより100ドル高いけれど、機能見合いなら、悪くないかも、うーん、これなら欲しいかも・・・とついふらふらと思ってしまった。

だが、待てよ。冷静に考えると、こんなに複雑なインテグレーションをしていて、どこかでフリーズしたりしないのかな?昔、マックを使っていたころのイヤな思い出の数々がフラッシュバックする。

それから、90年代の初代ハンドスプリング(今のTreo)からスマートフォンに興味もってきた人間としては、やっぱり「電話がタッチスクリーン」というのは、無理があるんじゃないかとどうしても思ってしまう。自分でやってみた結論なのだが、タッチスクリーンだと車の運転中の操作がとてもしづらいのだ。だから、Treoも結局、初代のタッチスクリーンをやめて、qwertyキーボードにしてしまった。ボタンを何ミリ押し下げるとか、そのときにどのぐらいカチッとした感触が指に返ってくるとか、表面がどの程度なめらかだとか、そんな小さなことで、運転中の使いやすさは格段に違ってしまう。タッチスクリーンでは、それが全部ナシ。片手で操作できないとダメ、という面もあり、iPhoneは細めの薄型なので、片手で持てるサイズとしてはクリアしているが、操作までスムーズにできるかなぁ?このへんは、実際持ってやってみないとわからない。メールなどのちょっと複雑なものは、やはりスタイラスでやらないとうまくいかなそうだ。

操作にしても、よどみなく流れるデモでは、すらーっと何でも簡単にできてしまうが、初期画面に小さいアイコンがいっぱい並んでいるのを見ると、当初から懸念していたように、やはり電話と比べて複雑な操作が必要で、高度ユーザーでないと使いこなせなさそうだ。

最終的には、モノを持ってみて、どのぐらいしっくりくるか、愛着がわくか、操作性がどうか、というのを見ないとなんともいえないが、「これ一台だけを持って歩くパーソナル機器」の地位はまだどうかな・・と思う。

でも、別に一台電話を持っていて、2台目のスマートフォンとしてこれをもつなら、いいかもしれない。私も、結局電話とブラックベリーを両方とも持ち歩いているが、ブラックベリーを買ったときに、「そうそう、電話とブラックベリーは別にしている人が多いよ」と店のにーちゃんが言っていた。なんせ、今のビデオiPodよりも、動画の表現力が圧倒的に向上している。ウェブ閲覧も、今のブラックベリーよりはずっとよさそうだ。それに、電話がオマケでくっつけてあると思えばいいのかも。

だって、電話がついていれば、キャリア(シンギュラー)の補助金で200ドルぐらいは安く売れるワケだから。まぁ、2年契約つきだから、ユーザーにとっては全部入れれば安い買い物ではないが、ブラックベリーを買ったときも、「月額料金は通話分はなし(かけた分だけ高めの従量料金)、データ分だけの安いプラン」という契約でもOKだったし、うっかりメインの電話が電池切れになったときにはバックアップで電話にも使えるし。

つまり、「画面の大きい動画メインでスマートフォン仕様の新しいiPod、オマケに電話もついてる」というのが、私的なiPhoneの印象だった。