セクシーなブラックベリー「パール」は、アメリカ型携帯文化の一つの完成形

Pearl


美しいけれど若すぎる男に惚れてしまうが如く、ブラックベリー・パールに魅入られてふらふらと購入してしまった。

発売からまだ1ヶ月そこそこだし、キャリアもTモービルしか対応していないので、本当ならもうしばらく待ってから買うのが正しいのだけれど、もうどうしても、待てなくなってしまったのだ。

下地はある。ずっとパームTreoの旧型バージョンを使っていたのだが、2−3ヶ月前にソフトが壊れてしまい、同期ができなくなってしまった。機種があまりに古いので、いまさら新しくソフトを入れる気にもなれず、また業界の趨勢から言って、パームOSは早晩なくなってしまうだろうから、どこかの時点で別のプラットフォームに乗り換えなければならない。でも、(これまでの)ブラックベリーはuglyだし、WindowsMobile機は高いし、YahooやGoogleのカレンダーを携帯で使ってみるとか、iPodのカレンダーや住所録で代用できないか、などいろいろ試していたのだが、どれもぴったり来ない。トレオ650はやたらに勝手にリブートする(にもかかわらず、愛用ユーザーが多いのは、「ダメな男に惚れてしまう」ってことかなぁ〜?)という評判だし、HTCのスライド式キーボードも一時気になっていたのだが、WindowsMobileの壁が心理的に乗り越えられない。Tモービルのサイドキックなんかも調べてみたが、エクセルやワードが扱えないとか言われ、どうせそんなのスマートフォンでは使いもしないのに、「え〜、やっぱ若者向けだワ!オバサンには役不足よ」などと思ってしまう。仕方なく携帯にどんどん電話番号がたまっていくのだが、パソコンにバックアップができないし・・・あ〜・・なんとかして〜!

狐疑逡巡しているうちに、先日のCTIA-ITで、Treo700のWindowsMobileバージョン、スプリントのネットワークつきの「一ヶ月無料お試し」の申し込みを受け付けていたので、サインアップして試してみた。しばらくぶりに、ケータイの「鬱陶しい番号キー入力+入り口が狭くてやたら奥が深いメニュー構造+狭くて見づらい画面」の呪縛から開放された、Treoのぱきっとした使い勝手がとってもキモチよくなってしまった。「あ〜、これよ、これ!やっぱりPDAだワ!」と思った・・・

あとは日本語さえ扱えればよかったのだが、私のテクでは、スプリントのTreo700にうまくWindowsMobile日本語バージョンをちゃんと載せられる自信がなかったし、その方法さえ、数日かけて見つけられなかったので、忙しくなってきてあきらめてしまった。

そうこうするうち、展示会で出会ったパール君の、黒いつややかな細身と鮮やかな画面が脳裏によみがえってきた。(Treoよりも薄型・小型だし、ニョキっと突き出たアンテナもない)それでも、一人前にブラックベリーなのよねっ。きっと、ドコモUSAの「ナミメール」を入れれば、日本語メールすら使えるようになるというツワモノに違いない。

どうせ扱うファイルが英語だけの片肺飛行ならば、細身薄型なようで実は中身はがっちりしていて、しかも美しい、まるでオダギリジョーのような(なんじゃ、そりゃ)セクシーなパール君のほうがいいかも・・・と思い始めたら、もう忘れられなくなってしまった。(写真じゃよくわからないと思いますが。手に持って初めてわかるのよ!)

そして、「Treo700のデモ期間の間に、並行して使い比べてみる」との自分への口実を思いつき、買ってしまった。

買ったあと、ことはそう簡単ではなく、ドコモの日本語サービスは結局パールにはまだ対応していないし、住所録データをパームからOutlookに移し変えようとしてうまくいかず数日費やし(結局OutlookExpressで使うことになった)、BlueToothで同期させるやり方がわかるまで半日かかった。挙句の果てに、文字化けしてもいいからプッシュ・メールにしようと思ったら、もとのアースリンクのメールがヘンになってしまい、送ったはずのメールが届かないトラブルが頻発(原因がブラックベリーなのかどうかは、いまだに不明)、とりあえず元の状態に戻すということで、メール同期を切ってしまった。あ〜、だんだん、渡辺千賀さんのTreoと同じことになってきた・・・

まだまだ使えない新人くん。だって、プッシュ・メールのないブラックベリーなんて・・・

でも、いいの。だって、キレイなんだもん。折りたたみ型ではないけれど、携帯電話としても抵抗ないだけの形と大きさに仕上がっていて、ビデオiPodとほぼ同じ大きさ(ちょっとだけ小さいかな)の液晶画面で、機能やメニューがミニマム必要なものにすっきり絞られている。フルブラウザーが使えて、ワードやエクセルも一応扱えて、入力は擬似フルキーボードでできて・・

これまで、ブラックベリーなどのスマートフォンは業務向けニッチに限定されていた。今年の夏、日本で講演会をしたときに、「スマートフォンがメインストリームになる可能性は?」と質問を受けたが、そのときには「端末価格が高く、使い方が高度なので、まだまだニッチにとどまる」と答えたのだが、「パール」を使ってみて、ちょっとばかり宗旨替えをした。これは、フルブラウザー(Web2.0もオッケー)・パソコン同期(iPodもそうですよね)・フルキーボードのアメリカ型携帯(+ウェブ)文化の、一つの完成形なのではないか、と思う。まだまだ、使い勝手は大衆化するところまで行っていないし、キャリアはマイナーなTモービルだけなので、メインストリームにはなれないが、一つの方向性を示していると思う。携帯文化がパソコンとは全く独立に、独自の発達を遂げた日本とは違う形だけれど、これはこれでいいのだと思う。

アメリカが、携帯後進国の汚名をいよいよ挽回する兆し!・・・だといいのだが。<ところで、ブラックベリーを、企業内サーバーじゃなくて、アースリンクなどのPOPサーバーにつなげたら不具合が出るとか出ないとか、ご存知の方があれば是非教えてください。これから、ブラックベリー・メールの独自アカウントへの転送というのも、試してみます。>