主婦は「経営者」「管理職」の自覚を持て

この前のエントリーに思わぬ反響をいただいた。コメントやトラックバックも読ませていただいた。

「ではどうすればいいか」という点については、このエントリーの中にもリンクした、一昨年の大元エントリーに書いてあるので省いたのだが、改めて疑問をいただいているので、改めて「共働き主婦」の視点から書き直す。

男性の視点からの話は、私にはうまくかけないので、申し訳ないがトラックバックやブクマコメントにもある男性方のご意見を参考にしてほしい。

一言で言うと、共働きなら特に、また専業主婦でもある程度、自分は「家庭経営の経営者・管理職である」との自覚を持て、ということだ。

過去2本のエントリーに書いたように、理想はともかく、現実的にはどうしても主婦が家庭に関してはより多くの情報の蓄積をもち、それをベースにしたより高度なアルゴリズムを備えている。それを夫にいきなり求めるのは無理というもの。前エントリーの例でいえば、買い物メモをもとに亭主が間違ったものを買ってきたとしたら、指示の出し方が悪かった、と自分が反省すべきなのだ。どこまで相手がわかっているのか、どこはイヤイヤやっていてどこは楽しんでやっているのか、きちんと把握しながら、裁量に任せていいところとそうでないところを見極めて、うまくスペックを書かないといけない。

昨日も、小学生の息子で試してみた。「コーヒー」はわかんないだろうと思ったので、「ピーツ・コーヒーのホーム・ブレンド、ホールビーン」と細かく書いたのでよかったが、「牛乳」はいつも家で飲んでいるのだからわかるだろう、と思ったら、「ホールミルク」でなく「ローファット」をかごに入れてきた。それで、「コーヒーに入れるのにホールミルクのほうがおいしいから、ウチはいつもホールミルクにしているの。この赤いフタのやつね。」と説明して覚えさせた。そして、「ジュースは自分の好きなのを買っていいよ」と言ったら、(アルコールがはいっていない限り)何を買ってきても文句は言うまい。

相手が、どこがわかるか、わからないかを自分で勝手に判断して、相手がそのとおりにならなかったといって「なんでそのぐらいわかんないの!」と怒ってはいけない。ちゃんと説明しよう。裁量に任せた部分は、自分の考えと異なっていても、文句を言わずに、任せてしまおう。そして、成果があがったらきちんと評価しよう。

会社で管理職が部下に指示を出すのと同じことだ。

ところが、大元エントリーに書いたように、女性は管理職の経験のない人が多く、こうやって他の大人に指示を与えて何かをやってもらう、という経験がなく、またそのストレスに耐えられない人が多いように感じる。だから、「そんなに忙しいなら、家政婦やベビーシッターを雇ったら?」といっても、その家政婦を面接して選んだり指示を出したり、気に入らないことがあったときにうまくそれを伝えたり改善するための策を考えたり、いざとなったらクビにしたりする、というのは「とてもできない」としり込みするのだ。

だから、相手が家政婦でなく夫だとしても、ちゃんと指示を出さずトラブルのときにコミュニケーションができず、「察して欲しい」などといって、それがかなわないと大爆発したりする。「だから亭主に買い物を頼むとかえって面倒だ。やっぱり自分がやらなきゃ」と抱え込んでしまう。余談だが、永遠のテーマである「嫁姑の戦い」というのも、(「発言小町」を読んでいると)姑の側に、こうした「管理職としての自覚と心得」が欠けていることから起こることが多い、ような気がしている。

だけど、私自身、仕事で部下がきちんとできなかったことを黙って自分でやってしまって、後で部下がそれをどのように受け取ったかを知って、大変後悔したことがある。ちょっと面倒かもしれないが、そこはぐっとこらえて、「管理職」「プロジェクト・マネージャー」としての立場で頑張るべきだと思うのだ。

その昔、大店の奥様などは、そうして女中達を使っていたのだ。慣れていない人は最初は大変かもしれないが、そのつもりで頑張ろう。

家族としての「感情」の部分でなく、家事や小さい子供の監視業務や学校のことや家庭の資金繰りなどの家庭経営の部分は、とにかくこなさなければ日常が回らない「単なるお仕事」と割り切ってしまったほうがいいと思う。それと家族の愛情という部分をごっちゃにしないほうが、世の中単純に割り切れると思う。

上記、私自身の自省をこめて、ご同輩がたに申し上げたいと思う。

<追記>
そんなことできる人、いないよ・・というコメントがあったので一言。そりゃ、管理職だって、100%完璧にできる人なんていないのと同じで、主婦の家庭経営が100%きちんとできる人などいない。大人の他人を部下にしたことのない人でも、とりあえず5%でも10%でも、できるようにがんばってみたら、心持をちょっと変えてみたら、ということでここに書いた。そして、「家庭経営」は「家族としての愛情」とは切り離して、仕事としてドライに考えるだけで、煮詰まった気持ちが楽になれば、と思う次第。

できる人が、できる分だけ、少しずつやっていけばいいじゃない。私がここに何を書こうが、世の中全部なんて変わるわけがない。でも、誰か一人か二人か数人か、これ読んでなるほど、と思って、「あはは、姑は失敗管理職か・・」と笑って気持ちが楽になるだけで、私はhappyである。