スマートフォン・スペクトラムとBlackberry

Blackberry Pearl Flip


iPhoneが使いにくい」と有名人が騒いでいる話が話題になっているようだ。
「私にiPhoneは無理無理!」森公美子がiPhone 3Gをハイテンションかつアグレッシブに批判 - GIGAZINE

で、「こういうヤツがいるから困る」と反論する方も。
森公美子に見るムラ社会とガラパゴスケータイ - 狐の王国


どちらも、わかるような気がする。私的には、「やはり森公美子さんのような人に、いきなりiPhone売っちゃいけなかったね」というのが感想。だから言ったじゃん、「iPhoneはケータイじゃない」って。彼女自身が言うように、まわりに「ほーら、こーやって指で伸ばすと字が大きくなるだろ、すごいだろ」と飲み屋で自慢するオヤジみたいな人が相当数になって、そういった「使い方の常識」が世間で十分な濃さになるまで、待ったほうがよかった。アメリカでは、「スマートフォン」ブームが2004年から徐々に盛り上がっているので、iPhoneに自然になじむ人がそれなりにいて、「濃さ」が十分なレベルまで達していたのだけれど、日本にはそういう下地がなく、さらに既存のガラパゴスケータイがすごすぎて、iPhoneをいじくりまわすインセンティブは世間全体のレベルからして低かった。それなのに、ソフトバンクは加入者が欲しいから、がんがん盛り上げて、誰にでも売っちゃったことに、無理があった。

ドコモが、静かにBlackberryを法人ユーザーから売り始めているのは、そういう意味で正しいやり方なのかもしれない、と思う。

さて、Blackberryといえば、皆さんご期待のように、私は結局、Blackberry Pearl Flip(赤)にした。iPhoneも、G1も、他のWindows Mobile機も、Palmも、他のBlackberryも、いろいろ見て触って検討したけれど、やっぱりコレだということになった。なぜかというと、いろんな意味で、この機種が、ちょうど私のようなユーザーをターゲットにしているということだろう。必要な機能がほぼ過不足なくはいっていて、使いやすく、フォームファクターもグッド、と思う。

私のようなユーザーとは、サラ・ペイリン流に言えば「ホッケー・マム」w、もうちょっと普通のアメリカ人的に言えば「サッカー・マム」ということになるだろう。一時この言い方がBlackberry界隈で流行って、今は廃れたけれど、やはりこのPearlというラインは、この層の人をターゲットにしているように思う。「サッカー・マム」とは、子供をサッカーの練習や試合に熱心に連れて行く、社交的で忙しい母親のこと。私はサッカーは関係ないが、「忙しい母親」であり、この層の女性は、かなりパソコンも種々のネット・サービスも使いこなし、必要がある限りにおいて、新しいサービスもあまり抵抗がない。とはいえ、本格的なギークのような、ソフトの中味をいじくったり、最新のアプリをダウンロードして試したり、という時間はない。パソコンとの同期などは、一応やるけれど、あまり難しくないことが望ましい。この程度の習熟度の人であれば、必ずしも女性でなくてもいいのだけれど、この大きさは女性が片手で持って操作するにもしっくりくる細長さになっている。(他のBlackberryは、幅が広すぎてどうもしっくりこない。)それと、ケータイをバックに入れて持ち歩く女性にとっては、画面がむき出しにならない折りたたみ式というのは何かと便利だ。他のフォームファクターも試してみたけれど、どうもやっぱり、これに落ち着いてしまう。

前のPearlは、あの大きさの中に、画面とキーボードを詰め込んでいたので、キーボードのボタンはアメリカ人の男性の指では押しづらい大きさだったけれど、今回は画面とキーボードが分かれたため、ボタンが大きくなり、配列もやや真ん中が下がるような流れで配置してあり、ボタンの微妙な角度も打ちやすくて、気に入っている。SureTypeというのか、一つのボタンにアルファベット2文字を割り当てて、予想入力するやり方が、新聞などでは不評だが、私は前のPearlから慣れているので、あまり気にならない。

それと、今回最大の収穫は、「これでiPodとおさらばできる」こと。何が悪いのか知らないが、これまで都合3回、iPodを同期しようとしてつなげたとたん、壊れるという経験をしていて、iPodを同期するたびにヒヤヒヤしている。もっと複雑なiPhoneで同じことが起きたらイヤだなー、というのが、私がiPhoneを躊躇していた一つの心理的理由だ。(あまりメディアでこういう事例を見たことがないので、きっと「私が触ると石になる」の一種だと思うが。)

今度のPearl Flipには、ポーズ・ボタンとマイクのついたステレオ・ヘッドセットが同梱されていて、同期のためのデスクトップ・ソフトに音楽などのメディアを管理・同期するアプリもついている。(ただし、このRoxioというソフトは、ちょっとこなれていないところがあって、改善の余地アリ。)これまでiTunesで買った音楽ソフトは使えないが、私が一番頻繁に同期する必要があるのはポッドキャストなので、困らない。CDから入れた音楽をとりあえず入れて、それを着メロや目覚まし音楽にしている。

そうそう、あとYahooとの連携が多くなっている。最近、アシスタントとスケジュール情報を共有できるようにカレンダーはYahooを使っているので、とりあえずカレンダー同期だけは、OutlookでなくYahooでやることにした。他に、アドレス帳やノートパッドなども、Yahooと同期できる。

ちなみに、あと改善の余地という点でいうと、古いBlackberryから新しいものへと中味を移すやり方かな。Blackberryデスクトップ・ソフトに、移行のソフトがついているが、これだと、今端末に保存されているメールとそのアイコンは移るのに、メールを受け取るセットアップは結局最初からやらなければいけない、というのがわからなくて、ちょっとまごついた。それと、トップ画面のコンテンツ配列(Theme)が、前よりも選択肢が少なく、ちょっと不満。

これで、正規に日本語をサポートしてくれたらいいんだけどな・・・ドコモさんに、頑張ってたくさん売ってもらいたい。全体としては、引き続き「メール端末+電話」という基本をはずさず、これにちょっと便利な機能を足したというバランスになっている。iPhoneとは違う位置づけ。

ま、なにしろ。そういうわけで、「スマートフォンにもいろいろある」ようになったのだ、ということ。虹の七色がはっきり分かれていなくて上から下に色が徐々に変わっていくという「スペクトラム」のように、「ケータイ」に近いところにあるもの、「パソコン」に近いところにあるもの、などとそれぞれ位置づけが違う。

なお、以前のBlackberryのエントリーで「Stormについてはどう思うか」というご質問をいただいているが、実は私はまだ見ていないので、なんともいえない。触ってみたいと思っている。