速報CTIA-IT 第一日 マイクロソフト版「ダークサイドからの脱出」
今日からサンフランシスコのモスコーニ・センターで、携帯電話の展示会「CTIA-IT」をやっている。秋のバージョンは、ITとエンターテイメント(携帯コンテンツ)にフォーカスしたもので、春のバージョンよりだいぶ規模が小さい。
ここ数年、秋のCTIAでは、(そもそもダサい携帯業界の人々にはめっちゃ場違いな)ヒップホップ音楽やヘソ出しコンパニオンが湧き出てくるのに悩まされ続けたのだが、今年はなんとなく、こぢんまりとしたギークの世界に戻った感があり、ちょっとホッとしている。「携帯エンターテイメント」に幻想を抱いた業界のお祭りは終わってしまった、ように思う。
その代わり、会場全体を覆っているのは、展示ブースにも基調講演にもワークショップにも出てこない、ふたつの巨大な亡霊の影である。一つは言わずと知れたアップル=iPhone、もう一つはグーグル。特にアップルは、ほとんどハロウィーンか?というほどの影の濃さ、である。
iPhoneのおかげで、スマートフォンというモノが一般消費者にも広く認知され、今年展示されている端末は、これまで以上に圧倒的に、qwertyキーボードやタッチスクリーンのスマートフォンとなった。展示や講演も、それに伴って、企業向けや実用向けのアプリが増え、SNSや映像などの「エンタメ系」はずっと減っている。また、基調講演やワークショップの話の端々に、検索や検索広告を意識した話題がのぼる。
その中で、なんといっても極めて個人的に大ヒットだったのは、今朝のスティーブ・バルマーの基調講演。CTIAで久々に面白いものを聞いた。隣で聞いていた亭主には面白くなさそうだったが、私は途中で笑い出しそうになった。
携帯電話業界では、マイクロソフトはこれまでずーっと、嫌われ者のよそ者の悪の帝国の侵略者、であった。キャリアもメーカーも、団結してその参入を拒んできた。そのために、携帯向けOSのWindows Mobileは、最近まで米国でも欧州でも、なかなか伸びなかった。しかし、その「ダークサイド」の皇帝が、いまや「私どもは、パートナー関係を重視しています」と何度も言い、対談で「端末戦略は?」と聞かれれば「エンド・ツー・エンドのクローズドなビジネスモデルの競合他社と比べ、我々は端末メーカーやキャリアに対してはオープンなパートナーシップでやっている」と答え、「700MHzの周波数オークションに参加する予定は?」と聞かれれば(ただでさえ大声のバルマー氏が)「全くありません!」とことさら大声で答え、会場の拍手喝采を浴びる。(←グーグルが700MHzオークションに参加する可能性あり、とかねてから言っている)
場所はモスコーニなのに、本当に、会場のどこにも、アップルもグーグルも、存在しない。会場の参加者は、地元ばかりでなく全米+世界各地から集っている。ここは、アップルとグーグルの小宇宙ではない。アップルもグーグルも、かつてのマイクロソフトほどの明確に敵視されているわけでもないが、無視するわけにもいかず、一方で自分たちを脅かす可能性の高い彼らの扱いに、携帯電話業界が困っているという、ヘンな雰囲気が漂う。
この機に乗じて、(相変わらず顔はダース・シディアスっぽいけど)バルマー氏は、「携帯業界の白馬の騎士」に変身しようとしている、ように見受けられた。
あー、街はもうすっかり、ハロウィーンだなぁ。<追伸>
今回は、他の仕事で忙しく、あまりアポイントを入れられなかったため、比較的ヒマで、会場を目的もなく徘徊しています。明日・明後日に会場に来られる予定で、面白い話のネタなどお持ちの方(いや、なくてもいいです・・)がおられましたら、是非ご連絡ください!左上の私のプロファイルをクリックするとメルアドがはいっていますので、英語またはローマ字でメールください。(私のブラックベリーは、日本語が読めないため。恐縮です。)