日本ガラパゴス なつやすみにっき(3) ユネッサンを作った人はエライ

子供たちが毎年夏休みに日本に来る最大の楽しみは、箱根の温泉遊園地「ユネッサン」。いまさらの有名行楽地だろうし、私も毎年のことでいまさらなのだが、今年もまた感心してしまった。

日本でもアメリカでも、遊園地はいろいろ行ったが、ここほど、「ほしい」と思うけど他にはないものがあって、「こりゃーいらない」と思うものが削られることでコストが適切になっているところは思いつかない。いや、この感想は、立場の違う人だったらもちろん違うのだが、たまたま私はユネッサンを作った人のターゲット顧客層にバッチリ合っているのだ。

だいたい、遊園地といえば子供が楽くても親は楽しくないのが相場。しかし、ここは腐っても「温泉」。遊園地部分はまーちょっとあまり温泉らしくないが、ちゃんとした露天風呂つきの普通の温泉もちゃんとあり、箱根の山々やまだ山ではきれいに咲いているアジサイなどを眺めながら温泉につかれる。子供が外の滑り台やプールで遊んでいる間、亭主と交代でマッサージやフェイシャルをやってもらえる。毎年、ビミョーにいろいろと新企画があって、今年は「なんつっ亭」との共同開発の「ラーメン風呂」だとか、昨年もあった、足の悪い皮膚を食ってくれる魚、「ドクターフィッシュ」は今年もあり、子供たちはいちいちそれに大騒ぎ。データを入れたリストバンドを使って、施設内で買い物ができるのも便利(おもしろすぎて、子供がこれでやたら自動販売機を使いたがるのが困るのだが・・)。売店で売っているおみやげの化粧品類や、種々のマッサージ機などがビミョーにあちこちの風呂に置いてあったりするのもビミョーな楽しみである。

一方、どうせ食いきれない旅館風コースの食事はなく、大食堂でビュッフェ形式の食い放題。ふとんは自分で上げ下げする。部屋に内風呂はない。内風呂が必要なシチュエーションとか、ふとんはしいて欲しいとかいう人もいるだろうが、今の私の状況では、これらが全部省かれて、そのための人件費が大幅に削減されて値段が安いほうがよい。特に、豊富なメニューのビュッフェは子供づれには大助かりである。部屋に置いてあるのは、ゆかたでなく、ジッパーつきのゆったりした上着とズボンの「館内着」で、これも子供づれにはありがたい。館内は清潔だし、食事もおいしい。

幸い、実家からそれほど遠くないところにあり、行くのも容易。上記のようなことができるのも、東京から日帰りもできる距離にあることや、もともと広大な土地を持つ小涌園だからできたことなのだろうけど、それにしても、この企画を考えた人は、つくづくエライと思う。

帰りがけ、チェックアウトを待つ間に見たら、ロビーに「絵葉書」が置いてある。キャラクターの「ボザッピー」のマンガ絵葉書で、「ユネッサンで楽しかったことを書いて送ってね。切手はいらないよ。」とあり、そばにポストが置いてある。うーむ、これはすごいマーケティング戦略だ。自分の孫や友達である子供の書いた絵葉書は、強力な口コミ。切手代なんて、これに比べればたいしたことはない。

いやー、ほんとにエライ。くやしいけど、来年もまた行こう。