日本はホントに、ブロードバンド大国なのか?

みんな、日本では、アメリカはブロードバンドでも携帯でも遅れていて、日本は世界でも最も先進的だと思っているだろう、と思う。

確かに、アメリカと日本の格差、というのは今でも何かとある。でも、アメリカでもこのところ、ブロードバンドの普及は急速に進んでいる。何よりも、アメリカの場合、「ユーザー主導」というか、「コンテンツ主導」で、今年にはいってYouTubeが大ブレークしたり、テレビ局ががんがん番組の有料・無料配信を始めていて、ちゃんと「中身を伴って、入れ物がそれに合わせて大きくなっている」感じがする。それに対して日本では、赤字覚悟の料金競争で入れ物だけが大きくなった、いわば補助金で無用の美術館や演劇場を建てても中身がはいらない、「ハコモノ行政」っぽい発展の仕方をしてきた。そして、いまだにテレビ局などは及び腰で(何が阻害要因か、というのもいろいろ思うところあるが、ここではそれはおいておく)、日本のユーザーはアメリカまでやってきてYouTubeで遊んだりしている。

で、調べ物をしていたら、ちょっと前の数字になるが、今年の4月にOECDが出した、OECD諸国のブロードバンド統計というのを見つけて、驚いた。韓国がついに普及率トップを明け渡した、というのもさることながら、なんと日本とアメリカは、普及率の数字だけを見ると、大して変わらないのだ。

人口百人あたりの回線数では、この統計(2005年末現在)で調査対象30ヶ国(OECD諸国、つまり先進国)の中のトップはアイスランドで26.7と、韓国の25.4を抜いた。相変わらず不調のアメリカは16.8で12位、あちゃ〜、と思いきや、日本はそのわずか一つ上、17.6という僅差でかろうじて11位とアメリカを上回っている。(トップから10位までは、おもにオランダ、デンマーク、スイスなど欧州の小国が並んでいる。欧州でも、イギリス・フランス・ドイツなどはアメリカ以下。)

もちろん、ブロードバンドの中身が違う(アメリカでは日本ほどのスピードは出ない)ということはあるのだが、ブロードバンドとダイヤルアップの最大の違いは、実はスピードよりも「常時接続」にあり、まずはその一線を越えるか越えないかを問題とすれば、意外にアメリカもいい線行ってるじゃん・・と思う。ちなみに、FTTH回線数では、日本がトップを占めており、現在韓国はこれを追うべくインフラを更改中で、普及率のスローダウンはそのため、と注釈がついている。

全体データは、こちら。
OECD ブロードバンド統計

いや、ちょっとね、アメリカも、侮らないほうがいいかも、と思った次第。