楽天・TBSとYahoo、SBC - 産業の盛衰、企業買収、人材流通の日米比較

ライブドアvs.フジテレビに続き、楽天vs.TBSの戦いが始まった。三木谷さんは、よほどホリエモンに個人的恨みでもあるのだろうか・・?ともあれ、メディア界の既存秩序であるテレビ局と、新興勢力のネット系メディア企業の戦いというのは、技術の進化を背景とした「必然の結果」でもある。日本だけでなく、アメリカでもこの両勢力の綱引きは、激化しつつある。

産業は生き物であり、時代と共に変化する。時代遅れになった産業に新しい産業が取って代わるのは当然であり、その過程には摩擦がつきもの。今は、電波によるストリーミングという従来の放送技術をベースとした産業構造から、別のものに力がシフトしつつあるワケだが、それが日本でもいよいよ企業買収の形をとって進行するようになった。従来のような、旧産業の「自然死」という長い死を待たず、もっと高速かつ効率的にシフトが起こるようになったのは、よいことだと思っている。

さて、ではアメリカはどうか。もちろん、相変わらず企業買収はいくらでも事例があるのだが、ことメディアに関しては、違う形をとっているように思う。「人材引き抜き」である。特に、YahooとSBCが、エンターテイメント界の目立った大物を積極的にスカウトしている。

ベンチャーなら、まるごと買うのが手っ取り早いが、既存勢力に属する会社を買うと、値段も高いし、いらないものまでくっついてくる。ネットワークだとか、別の資産が目的なら買収が必要だが、人材を求めるならば、大物をスカウトするほうが、手間もかからず、効率的だ。それに、エンターテイメント産業では、個人の手腕が特に重要だ。この業界では、個人に人脈がくっつき、それが勝負を決めるからだ。

日本でも、終身雇用の崩壊に伴い、若い世代では人材の流動がより盛んになっている。これは、産業の栄枯盛衰をさらに加速するだろう。そして、その時代に生きる私たちも、それに負けないよう、自分の価値を常に高める努力をし続けることが、ますます求められるようになるだろう。