不機嫌な日本全国コストセンター化(その2)

「続きはのちほど」などともったいぶっている間に、トラバやコメントで、ネタの一部を先に言われてしまった。(爆

http://www.isisaka.com/blog/archives/2007/11/post_457.html
私的に言うと「パラダイス鎖国」の状況下では、「upward potential」がなくなった感じがしてしまうのじゃないか、という件。

などなど。

で、それにつけても最近面白かったのがこのエントリー。

「おはよう奥さん」誌と「はてなブックマーク」の間に

エントリー本来の趣旨とは全然カンケイなく、私はこういう節約努力というのが全然できない落第主婦なので、自らを笑ってしまったのだ。アメリカだと、クーポンをこまめに使う、というのが結構手軽な節約法なのだけれど、これが何度やっても私にはできない。「この店に行くときに持っていこう」と思ってちゃんと持っていった試しがないし、財布の中にいれておいても気がつけば有効期限が切れている。

もともとズボラであるということに加えて、仕事をしていると、クーポンをきっちり管理したり、バーゲンセールのある店や品目を事前に調べたり、ちょっと遠いけれど安く買える店まで行ったり、「おはよう奥さん」を読んできっちり勉強したり、というヒマもないし、頭に浮かばないし、超面倒、つまりは優先度が低い。それで月100万円節約できるなら頑張ってやるかもしれないけど、200円ぐらいだったらまーやらない。

私の場合は、その時間やエネルギーを仕事に振り向けたらいくら稼げるか、とつい考えてしまう、つまり「トレードオフ」を計算してしまう。でも、専業主婦の方々は、そのupward potentialがないので、自分で金銭的な価値を生み出すには「節約努力」をするしかない。世のお父さんとお母さんの金銭感覚のズレは、しばしばこの点から起こる。

でも、お父さんでもその職種によっては、お母さんと同じ立場の人たちがたくさんいる。すなわち、「コストセンター」と呼ばれる職種や部署である。

その最も典型的な例がお役人である。企業の中では、経理や総務といった管理部門がそうで、「プロフィット・センター」である営業との軋轢というのは、「私はこんなに苦労して節約しているのに、こんなに飲み代を使って!」と怒る奥さんと「飲みに行くのも仕事のうち・・・」とぶーたれるご亭主の摩擦、と同じことである。それぞれの性質から、一般にコストセンターの人は安定を指向する(risk averse)、プロフィットセンターの人はvolatilityがあってもupward potentialを指向する(risk loving)、という傾向が強い。

夫婦の立場と同様、プロフィットセンターもコストセンターも、両方ともなくてはならない。時には軋轢がありながらも、バランスをとっていくものだ。しかし、どちらかにパワーが偏りすぎると、問題も起こってくる。

イトイさんが言うような「不機嫌」がはびこっている状況というのは、日本全国「コストセンター」のほうの力が強くなりすぎて、アンバランスの問題が起こっているということなのだろう。一方、バブルの時は、ギャンブル好きのお父さんが、しっかりもののお母さんの忠告を聞かずに突っ走った。

でも、ということは「日本全国コストセンター化」というのは、不可逆の時の流れじゃなくて、「upward potential」を過小評価する世の中の気分による、今のバランス状況に過ぎないのではないか、と思う。あるいは、もしかしたら管理社会化そのものは不可逆かもしれないけれど、「不機嫌」な顔が多いのは、今の時代の気分であって、この先変わる可能性のあるものなのでは、と思うわけだ。

さらに続きます。