ドコモ・スマホ関連ネットワークトラブルは「ガラパゴス」のせい?

昨日、ネットでさんざん叩かれていた下記の記事につき、「これってミスリーディング」という一言コメントを英語でつけてツイートしたのが結構RTされていて、もしかして私が「この記事を支持した」と勘違いされているのでは、と心配になったので、解説を加えておくことにする。

高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相(町田 徹) | マネー現代 | 講談社(1/5)

ここに書かれていること、たとえばドコモがアップルを憎悪しているなどが本当かウソかは私は知らないし、彼の結論、「日本の端末ベンダーが競争力を失っているおかげで日本のキャリアがOSに対してコントロールを持てないことが問題だからそこをなんとかしろ」という結論は、この話とは別のことだし、解決法としては非現実的だと思う。

そんなことより、この「制御信号問題」という話を聞いたとき、私の頭の中は「??」で一杯になった。なぜかというと、この問題自体はすでにアメリカでは2008年頃から表面化し、欧州でも2009〜10年頃に一部波及して、世界の業界ではもうすでに数年にわたって広く知られている共通の問題であり、そのためにAT&Tがひどい目に遭っていることも広く知られていて、ドコモがそれに対して準備する時間は十分あったはず、鉄壁のドコモがなぜ?というのが今だによくわからないからだ。なんせ、私のような非当事者ですら知ってる話。ドコモの人もアメリカにたくさん常駐して、その問題と、それに対してAT&Tがどうやって戦ってきたかの過程は、身近で見ているはずだ。だから、私も「いやー、AT&Tが人柱になってくれたことだし、日本なら必要以上に準備するからダイジョブでしょ」と思っていたので、??となった。

ベンダーだってわかってるはずだと思う。昨年5月に、エリクソン・ジャパンのアラタロ社長にインタビューした私の記事でも、その話が出た。

http://wirelesswire.jp/Inside_Out/201106232100-3.html

無線部分で制御信号が過剰に飛ぶだけでなく、それがバックホールのIPネットワークで問題を起こすというのも、AT&Tではすでに経験済みであり、彼らもここ2年ほど、苦労してバックホールや無線部分を手直しし、大々的に投資して、ようやく最近はよくなってきたと言われている。

日本でも、ソフトバンクは同じことをある程度経験しているはずだが、母数のユーザー数が大きいドコモのほうが問題が大きくなりやすい。これもアメリカと同じで、弱体スプリントに問題がそれほど出ないのは、ユーザー数が少なくてネットワークがすいてるから、だと思っている。(鉄壁のベライゾンは、周波数状況も投資余力も違うので、これは別格として。)

アメリカの経験が生かされていないのは、果たして何が問題なのか、ドコモが悪いのかベンダーが悪いのか、それとも予想を超える売れ行きになったから予定が狂ったのかは知らないが、いずれにしても、これはまさか、日本の人が外国での話を聞く気がないか、または「AT&Tとウチは違う」などと思っていたのか、そんなレベルの「ガラパゴス」状態が原因なのでは?と心配になっている。

まぁなにしろ、もうケーススタディが十分あって、やるべきことはわかっているはず。日本でも徐々に問題は解決されていくだろう。