米国赤十字からのハイチ写真メール

先日書いたように、ハイチ援助としては、私はウェブと携帯の両方から、米国赤十字に寄付をしてみた。今までも何度か赤十字には寄付しており、ウェブから寄付すると確認メールがくるのは当たり前なのだが、今回は「米国赤十字CEO」から、写真つきのお礼メールが来た。まぁ、お礼というよりは、よかったらもっと寄付してね、友達にも転送して寄付をするよう勧めてね、という意味なのだが。

チャリティに寄付をするとき、一番の心理的障壁になるのは「詐欺じゃないのか?ほんとにこのお金はちゃんと目的どおり使われるのか?」という「不信感」である。だから、私も、よほど相手の身元が確実でない限り、街頭募金にも電話でのお誘いにも応じない。いちいちちゃんと調べるのも面倒だから、ということで、ついつい「安全確実」な赤十字にいつも寄付するのだが、それでも「こうやって赤十字のスタッフが現地でやってます」という、いわば「証拠写真」まで送られてきたのは初めてのことだ。しかも、CEOの名前で。

http://american.redcross.org/site/PageServer?pagename=ntld_haiti_video_landing

その意味で、寄付した人の安心感にもなるし、現地の写真は臨場感があり、やはりドキッとする。単に「American Red Cross」という団体名でなく、CEOの個人名で来るというのも、目を引く。

そして、このFlikrを使ったスライドショーには、「友達に送る」という真っ赤な目立つボタンと、やや控えめに「寄付をする」というリンクがついている。ここがポイント。先日の「オバマのネット戦略」と同じパターンなのである。下記エントリーに掲げた「オバマ選挙戦時のiPhoneアプリ」のインターフェースと同じ発想なのである。

オバマのいわゆる「Twitterおよびネット戦略」の今更解説 - Tech Mom from Silicon Valley
「ネットと新時代の民主主義」の資料公開のお知らせ - Tech Mom from Silicon Valley

こうしたバイラル効果を狙ったやり方は、露骨に商売だとイヤらしい感じにもなるが、赤十字だとか、オバマ・キャンペーンの場合などだと、もともと「ボランティアとして賛同する人」が対象であることもあり、より効果的だろう。そして、たとえスタッフがやっているとしても、トップの人の個人名で、その人の意向としてこれをやっている、という「パーソナル・タッチ」もますます重要になっている。ネットとは「人の塊」である、ということを、最近ますます感じる。こうした「ちょっとしたものでもいいから、受け取った人の行動に結びつける」ように、背中を押してあげるような「行動への呼び水」としての効果もある。

日本の政界でのTwitter熱にやや胡散臭さを感じるのは、このように「別にTwitterじゃなくても似たようなことができる」「ほかにもすでに多くの手段がある、いままでだってやろうと思えばいくらでもできた」にもかかわらず、その本質の「ネット=人間のクラスターの塊」「ネット文化は本来は『よき知らせ』(政治や社会貢献はその中心的な存在)を安価に手軽に伝達する目的から発生」というところがほとんど語られず、ツールとしてのTwitterばかりが一人歩きし、「広告」「ファッション」として扱われているような気がするという点だ。Twitterは独自の利点を持つ、面白い存在であるが、そういった各種ツールの一つに過ぎない。今のところ、とりあえず、「自分とフォロワーや読者」という「双方向」しか意識していないように見える。「受け取った人がさらに転送して、人間関係のつながりをベースにして、チェーンのようにつながっていく」「単に考えだけでなく、行動に結びつける」ということを、うまく活かしているケースは、私の不勉強のせいかもしれないが、日本ではあまり見たことがない。

まぁそれでも、ブームに乗るというきっかけで、少しはネットの世界に足を踏み入れて、「人のクラスター」「世界をよくするため」のネットのあり方や、「パーソナルタッチ」の重要さを、より多くの人が理解してくれるなら、何もしないよりはずっといいと思うけれど。

何しろ、日本の新聞では「阪神大震災15年」がたくさん記事になり、鳩山さんのTweetにも言及されたが、相変わらず誰も、そのついでにハイチのことを紹介してくれず、協力や寄付のよびかけもされないので、引き続きネットの片隅から叫ぶことにする。日本でのオンライン寄付受付先について、もっとたくさんリンクをまとめてくださった方があるので、ここに紹介しておく。トラックバックをありがとうございました。

http://tskszk.seesaa.net/article/138513759.html

ちなみに、はてなの「ポイントによる寄付」で、「ここをクリックして寄付」というボタンがあれば、このブログに貼りつけようと思ったのだけれど、少なくとも昨日の時点では見つからなかった・・・あるんでしょうか??