それなら別のを使えばいいじゃない - ドンキ的検索エンジンの件

いや、マリーアントワネットのお菓子の話ではない。検索エンジンの話だ。

http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20081004/1223138987
http://anond.hatelabo.jp/20081005152802

グーグルのストリート・ビューが嫌いとかなんとか、意見を表明するのはいいけれど、言ってるだけでは事態は変わらない。かといって、ヤフーもマイクロソフトも勝てなかったグーグルに対抗して、「くやしけりゃ、自分で検索エンジン立ち上げてみやがれ」というのも、ヤケのヤンパチっぽくてあまり現実的じゃない。

一連のストリート・ビュー騒動の根底にあるのは、「グーグル一人勝ちで、思い上がってんじゃないの?」という反発、または一人勝ちで大丈夫なんだろうか、という不安なのだと思う。それは、日本だけの話ではない。以前は割にグーグルにやさしかったシリコンバレーギーク・メディアの人たち、例えばティム・オライリーとか、テック系ポッドキャストTWiTの主催者であるレオ・ラポートとかが、同じ懸念を語る場面が最近増えてきたと思う。特に、「マイクロフー」騒動が決着した頃から。

でも、誰がやったって、グーグルに勝てっこないんだ。ネット事業では、シェアが増えれば増えるほど強くなる傾向が、他の業界よりも強い。今更、グーグルに対抗する検索エンジンなんてやろうというのは、愚かなドンキホーテに過ぎない・・・

にもかかわらず、シリコンバレーのVCや大金持ちの連中が、結構こういうドンキホーテ連中に金を出している。彼らも、同じ懸念を持っているからじゃないかと思う。そういう「ドンキ的」検索エンジンが、このところワラワラと出てきている。7月に鳴り物入りでサービス開始したのに、大コケしちゃったcuilとかね・・・他にも、SearchMeとか、まーいろいろある。一人が倒れても、その屍を乗り越えて、新しいドンキ君がやってくる。

だから、グーグル支配を不安に思う「普通の人たち」は、そういうリスクを冒してやってる人たちを、「新興検索エンジンを使う」という行動によって、支持すればいいんじゃないかと思う。

支持する先は、ヤフーやMS LiveSearchでもいいけれど、彼らはすでに母数が大きいので、トラフィックに少々の動きがあっても焼け石に水。日本のヤフーはどうせ最初から勝ってるから、日本のヤフー使ってもあまり意味がない。でも、アメリカの弱小検索エンジンを使ってみたら、そのトラフィックは彼らにとってはありがたいだろうし、フィードバックや投稿をしてあげたらとっても喜ぶだろう。

そりゃ、グーグルのほうが検索の質はいいだろう。慣れもある。でも、検索エンジンはどうせタダ。「信任投票」のために車をもう一台買えというのは無理だけれど、ときどき別の検索エンジン使ってみるのは全然無理じゃない。最近の検索エンジンは、例えばウィキペディアジンボ・ウェールズがやってる「Wikia Search」なんかは、ウィキペディアと同じ「群集の知」方式で、自分でリンクを追加したり、サマリーを編集したりできるから、そういうのを自分の手でやってみる、なんてものある。

繰り返すが、こういうドンキ君たちがにわかにグーグルに勝てるわけはない。でも、勝ち組を批判して引きずりおろすのは私の趣味じゃないので、たとえ敗色が濃くても、対抗勢力に加担して少しでもそっちを持ち上げるほうが好きだ。だから、そのように行動している。

言っておくけれど、私はグーグルが嫌いでは全くない。便利に使っているし、尊敬すべき企業だと思っている。ただ、「to keep Google honest」のために、バランスをとるべきだと思うだけだ。そして、そのために普通の人でもできる、リスクもへったくれもない「アクション」があるのだから、文句言ってるだけじゃなくて、行動したらいいと思うだけだ。