地デジ・コンバーターがやってきた

我が家に、デジタルTVコンバーターがやってきた。ちょうど、地デジの話題がまたいろいろ盛り上がっているところでもあり、参考にちょっとアメリカでの我が家の体験談を書いてみる。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/074850c7252e6b8de219d51e7c9792e3
http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2008/07/26/entry_27012521/

アメリカでは、日本よりも早く、2009年2月にアナログを停波する。その跡地は、すでに先ごろ、グーグルの参加でえらく盛り上がったいわゆる700MHzオークションで、携帯電話会社に売り払ってしまった。アメリカでは「テレビの機械を売るメーカーの利害」というのはほとんどないので、デジタル移行はどっちかというと、跡地を作って携帯電話会社に高く売って儲けよう、という政府の金儲けの色が濃いような気がする。

アメリカの場合、ケーブルテレビや衛星テレビには影響がない。したがって、アナログ停波で困るのは、こうした「有料テレビ」を見られない「低所得層」。ということで、いずこも同じように散々もめた挙句、「デジタル・コンバーターの購入に補助金をつける」ということになった。

ユーザーはまず、「クーポン」を申請する。ウェブからでも、電話やファックスでも申し込める。クーポンが郵送されてきたら、90日以内に、それを電器店に持って行き、コンバーターを購入する。コンバーターそのものはだいたい60ドル、クーポンは40ドルなので、差額は自分で払わなければならない。*1

クーポン・プログラムについてのメインのウェブサイトはこちら。.govのドメイン名でわかるように、アメリカ政府がやっているサイトで、実際にプログラムを運営しているのは商務省の一部であるNTIA(National Telecommunications and Information Administration)。
https://www.dtv2009.gov/

今回は、大手電器店チェーンのBest Buyで購入。テレビ売り場の目立つところに、このやたら派手な赤いクーポンの表示が出ているのですぐわかる。店員に聞くと、「ああ、そこの棚にいくつかあるでしょ、どれでも同じだから適当に持ってって」という感じ。確かにどれも同じ値段だし、メーカーも聞いたことないとこばかりだし、選びようがないので、適当に一番見栄えのよいのを選ぶ。

買ったのはこれ。
http://www.insignia-products.com/pc-318-49-insignia-digital-to-analog-converter-for-analog-tvs.aspx

亭主はさささっと接続を終了。今まで使っていたテレビのリモートでなく、今度はコンバーターのリモートで操作するようになる。テレビとコンバーターのOn/Offスイッチは別になっている。やってみると、これまでのアナログ1チャンネルに対し、デジタルは3つにチャンネルが増えるので、たとえば今までの「4」チャンネルは、「4-1」「4-2」「4-3」という風に分かれる。チャンネルをザッピングしてみると、「なんだかやたら、中国語とスペイン語のチャンネルが多いなー・・・」という印象。韓国語など他の言語のチャンネルもやたら増えている。アナログのテレビ局がそのままデジタルに移行しているはずなので、デジタルで増えた分のチャンネルを、別のコンテンツ・プロバイダーに「又貸し」している、というケースもあるのかもしれない。外国語チャンネルが多いという事情は、上記の「地上波ユーザー」のプロファイルでおわかりのように、「移民」が地上波の一つの顧客セグメントになっている、ということのようだ。

チャンネルが増えたので、ケーブルTVのような「チャンネルガイド」が画面の一番上に出せるようになっている。実際のところ、これまでも地上波テレビはかなりチャンネル数が多く、実際にはユーザーは、普段は一つか二つのチャンネルしか見ない。いったんつけてしまえばそれほど複雑な機械ではないので、最初はとまどうだろうが、ちょっと慣れればどうってことないだろう。

ただ、「クーポン申請」「機械を買いに行く」「取り付ける」「新しい機械の操作に慣れる」というステップが間にはいるので、田舎のおじいちゃんおばあちゃんや、ヒスパニックチャンネル専門の人たち(それも若い人は大丈夫だろうけど・・)などは、ちょっと乗り越えるのが大変そうだ。*2

でもまあ、アメリカの場合、そういうわけで「地デジ移行」が混乱を起こすのは、限られた層の消費者だけなので、アメリカではまず「2009年テレビ崩壊」という事態は起きないんじゃないかと思う。

おまけ→我が家でほとんど唯一、このテレビで見るのは、朝食時の「4」チャンネルのローカルニュース。わざわざネットで探してまで見ない、たとえば「UCバークレーの『tree sitter』(大学内の大木を切り倒すのに反対する人々が数ヶ月にわたって木の上に座り込みをしている)がどうなったか」なんぞというのが見られる。コンバーターをつけてこのチャンネルを見たところ、「4-3」では画面を4分割して、ベイブリッジなど、渋滞の名所の現在の様子をカメラでずーっと映している。これ、通勤の人には、なかなか便利ではありそうだ。

*1:なお、もうちょっと正確に言うと、クーポンは2回に分けて配られる。最初の2225万枚は誰でも申し込めるが、それがなくなった後、地上波以外にアクセスのない家庭に対して特別に配られる1125万枚というのも用意している。クーポンは一家庭に2枚までとなっていて、上記の数がなくなったら終わり。ケーブルや衛星を契約している家庭の場合、最初の「一般向け」配布を逃すと、その次の「特別配布」ではもらえない。我が家の場合、ケーブルも契約しているが、キッチンに一台地上波用のテレビがあるので、それで試した。

*2:上記、クーポンのウェブサイトは数多くの言語に対応していて、メインは英語とスペイン語になっている。