オーディオ・セラピー AIT終了後の経過

次男坊Tは、2月に中枢性聴覚処理障害の一種、Hyperacusis対策のためのセラピー、AITというのを受けた。内容については、セラピー真っ最中に書いた下記を参照。

聴覚セラピー開始、「マイアヒ」で果たして学習障害が治るか!? - Tech Mom from Silicon Valley

2週間のセラピーは2月29日で終了した。

ここに掲げた図は、セラピー開始前、セラピー期間のちょうど真ん中、セラピー終了後の3回の「オーディオグラム」と呼ばれるグラフである。セラピストは、Tにヘッドホンで異なる周波数の音を聞かせる。ごく小さい音からだんだん大きくしていき、どの時点で聞こえたかを記録したのがこの図である。小さくて見難いが、やや太くなっている横線が「0」で、標準を示し、それより上は標準より10デシベル上小さくても聞こえるということ、下は10デシベル、20デシベル・・・とだんだん大きくなるまで聞こえない、ということを示している。赤い線が右耳、青い線が左耳である。

一番左のセラピー開始前では、2000Hzと8000Hzに「山」があり、その前後が「谷」になっているのがわかる。この2つの周波数帯が異常に敏感に聞こえ、その前後の音は聞こえにくいことを示している。

上記の前回エントリーに、セラピーに使った機械の写真があり、赤いランプが2つ点灯しているのが見える。2000Hzと8000Hzの音を消している、という意味である。

その後、セラピー中間では、この山が8000Hzではほぼ消えており、最後のセラピー終了後の計測では、2000Hzでも右耳だけ少し山が残っているものの、ほぼ全部が平らな状態にまでなったことがわかる。どの周波数帯でも、プラス5からマイナス5デシベルの間でグラフがほぼ平らになるのが標準なので、計測状態で見る限り、ほぼ問題は解消したことになる。

ドクターの話では、この影響が本格的に効果になって表れるには、3ヶ月から半年ぐらいかかるのが普通とのこと。ただ、少々の違いはセラピーの最中からぼちぼち見られるようになった。

これまでは、居間にTがいて、私がキッチンから名前を呼んでも答えることはなく、何度も呼びかけ、しまいには顔の前に行って見えるところから呼びかけないと答えないのが普通だったのに、遠くから呼んでも一回で答えるようになった。また、夕食のときに家族で話をしているとき、これまではTは会話に加わらず、本人に向かって特別に呼びかけないと会話にならなかったし、呼びかけてもとんちんかんな答えを返してきたりした。しかし、セラピーの後は、自然に話しの流れについてきて、会話に加わるようになった。心なしか、話し言葉がこれまでよりきちんとした文章になったような気がする。以前よりも、多動傾向が少し減ったようにも思う。

今日は、先生との親子面談があったが、先生も「まだ完全ではないが、前よりずっと、課題をこなそうという努力が見られるようになったし、自分で『スペース・アウト』してしまったときに、自分で気がついてこの世に戻ってくるようになった」と言ってくださった。

どこまでが本当にセラピーの効果で、どこからが本人の「ボクは耳のセラピーをやったからもう大丈夫」という自己暗示なのかはわからないが、とりあえずいい方向に転がりだしたようだ。