マシ・オカとギーク映像コミュニティのルーツ
現在、世界で最も人気のある日本人俳優はダレでしょう?
世界最大の映画データベース・サイト、IMDbの「スターメーター」*1によると、渡辺謙でも真田広之でもなく、もちろんキムタクでもなく、人気テレビシリーズ「Heroes」の癒し系キャラ、マシ・オカなのだ。彼は長くアメリカに住んでいるけれど、日本生まれで、日本語もうちの息子たちよりは上手い、時々ちょっとヘンだけれど訛りのない日本語を話す。「Heroes」は、ごく普通の若い人々が自分たちの超能力に気づき、悩んだり苦しんだりしながら世界を救うために戦う、といったお話で、アメリカでは9月終わり頃から2シーズン目が始まったところ。日本でもそろそろ放映が始まっていると思う。
マシ・オカは、俳優に転向する前、サンフランシスコにある映画CGI制作の権威、ILMでソフトを書いていたことでも知られる。ILM(Industrial Light and Magic)は、ジョージ・ルーカスが設立し、「スターウォーズ」の画期的な特殊効果を制作したことで名を馳せ、現在も大作映画のCGIを多く手がけている。
このところ、ネット映像の盛り上がりを見ていて、「なんでこんなに、自分でソフトを書いたりメカに詳しいギークでありながら、映像的センスがあるという、クロスセクション的な人が世の中にたくさんいるんだろう?」と不思議に思っていたのだが、どうやらこのILMおよびその周辺がルーツなのでは、ということに思い至り、自分なりに納得している。
例えば、前にもこのブログで紹介した、Discovery Channelの「Mythbusters」という番組。出演者は特殊効果専門家などのギークたちで、この番組はサンフランシスコで制作され、ギーク視聴者の人気を集めている。出演者の一人、ロボット技術専門家のグラント・イマハラは、日系のイケメン・ギークで、息子の話では「スターウォーズ」のR2D2の操縦を担当していたらしい。
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イーストベイのEmeryvilleにあるピクサーも、スティーブ・ジョブスはもともとジョージ・ルーカスから買収した。
梅田望夫さんの著書の中で、「はてな」の社外取締役に就任するための「通過儀礼」として「スターウォーズ」DVD全巻を見るように言われたエピソードがある。はてなだけでなく、ギーク達の間で「スターウォーズ」は特別な地位を占めるが、それもジョージ・ルーカスに対する単なる「ご当地」びいきでなく、ILMやその周辺の仕事に従事する人や、それに実質的に影響を受けた人が多いという理由もあるように思う。
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テック系ポッドキャスト、「This Week in Media」には、このようなギーク映像コミュニティの人たちが登場する。ケビン・ローズのRevision3もこういう人たちがやっている。
Web2.0系の人たちには、従来のハイテク・ギークとはちょっとノリの違う「イケメン・美人」が多いと以前書いた。
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そのときには、Web2.0系ギークメディアとはすなわち「広告業界」だから、というご指摘があったのだが、もう一つ、ジョージ・ルーカスおよびILMに源を発する、「ギーク映像」コミュニティというのが、ベイエリアには長いことかけて醸成されてきて、かっこいいメディア制作ギークというのもたくさん存在する、ということも言えそうだ。そして、現在のネットを使ったデジタル映像の潮流の中で、映画のハリウッド、テレビ・広告のニューヨークでなく、サンフランシスコが台風の目になりつつあるのも、こういったギーク映像系人的リソースが豊富にあることに起因している、と思っている。
いろんな意味で、上記エントリーのコメントにいただいたように、現在最強のイケメン・ギークは、やはりマシ・オカのようだ。頑張れ、ヒロ・ナカムラ!