家庭内労働力の確保はラクじゃないのだ

少し前に、チャドル話にケチつけたが、その続きの話。

チャドルの問題じゃぁないだろうが・・・ - Tech Mom from Silicon Valley

「家庭内労働力」が世の中に存在したとしても、それだけじゃ我が家の問題は解決しない。その二つの間をつなぐ「マネージメント」が必要なのだ。つまり、こういう話。

父の日雑感 - マネージメントとしてのお父さん、お母さん - Tech Mom from Silicon Valley

我が家で二人目の子供が生まれる直前、近所に新生児を預かる保育園がほとんどなく、あってもべらぼうに高かったので、それならあと少しお金を足して、ナニーを雇おう、と決意した。で、臨月のお腹をかかえて、「ナニーの雇い方」みたいなサイトを漁って情報を集めたが、読んだだけで気が遠くなる。募集、面接、信用調査、採用、賃金や労働条件のネゴ、日々の管理、賃金の支払い、労働局への申請、社会保険料の支払い、などなど、全部やらなきゃいけない。ナニーを紹介してくれるエージェントもあり、ここに頼めば一連作業のかなりの部分をやってくれるが、これまたべらぼうに高い。

それで、とりあえず地元の無料コミュニティ紙に広告を出して募集してみることにした。広告料は、3行か4行のちっちゃなテキスト広告で、3日間数十ドルぐらい。こんなんで、誰か応募してくるんだろうか??とやや不安。ところが。

広告が出たとたんに、電話の嵐。掲載後も電話が続き、結局5日ほどで90本電話がかかってきたのだ。最初はちゃんと応対していたが、すぐにあきらめて、まず全部いったん留守電に入れ、あとでまとめて聞いて、住んでいる場所や話し方などでとりあえずスクリーニング。応募する人はそれぞれに事情もあるだろうし必死なのだろうが、悪いけどこっちもやってられない。それから数人を面接。指定した時間に来なければ即ボツ。そういうやつの面倒みてる暇などない。何人か見るうちに、こちらも慣れて来るが、それでも話を聞くのは疲れるので、数人会ったところで2人ほどに絞り、再検討して結局一人に決めた。そのあとも電話はかかり続けたが、悪いけどもうおしまい。

そして、その人と給料や勤務時間、その他の取り決めをして開始。結局、2歳になったら保育園がいろいろあるので、それまでの間、この人と、その次の人の二人で、フルタイムのナニーは終わりで、二人とも幸いとてもよい人たちだったのだが、それでも、クリスマスにはギフトをあげなきゃとか、その人の家庭の事情で休むときはまたドタバタとか、まーそりゃいろいろ管理の苦労があった。

その後、保育園にはいった後、急に仕事が忙しくなり、しばらくナニーが必要になったが、とてもじゃないがこれだけの手間をかける暇がなかったので、忍の一字でお金を払い、エージェントに頼んだ。仕事でもらうお金と比べたらほとんど持ち出し状態だったが、どうしようもなかったのだ。

会社で管理職のお父さんたちでも、雇用条件の決定・募集・採用・管理まで、全部いっぺんにやったことのある人は少ないと思う。大きな会社なら人事部があるし、人事部の人は雇うだけで日々の管理はしない。ベンチャーや中小企業オーナーでなければなかなか経験しない。ましてや、管理職経験のない主婦が、会社組織も既存の勤務規定もない、一対一の雇用関係を作るのは、大変なストレスだと思う。自分でやってみたから知っている。とても、誰にでもお勧めできるものではない。

今は子供が大きくなったので、パートタイムのベビーシッターと、あとは掃除の外注などでしのいでいるが、それでもやっぱり、部下やベンダーの「管理」業務が常についてまわる。私は、上記ナニー騒ぎのときにすでに40を過ぎていたし、もともと管理職になる気満々の人間なので、まーいいのだけれど、若いお母さんじゃぁこれはとても無理だろうと思う。

家庭内労働力の確保とは、労働力そのものの存在もさることながら、それをマネージする管理力が必要。本当に、ぜんぜんラクじゃないのだ。