ギークはニンジャがお好き

このところ、我が家の小学生の息子は、テレビ番組といえば「Mythbusters」しか見ない、といっていいほどはまっている。Discovery Channelというサイエンス系の地味なチャンネルで、「都市伝説」を本当かどうか、実証してみる番組なのだが、やっているのが長年映画の特殊効果をやってきた専門家。おおがかりで見栄えのする装置をつくって、派手に爆発させたり吹っ飛ばしたりするし、その念の入れようがものすごくオタッキーで、はっきり言ってめちゃ面白い。この専門家たちはサンフランシスコにいて、実験地も地元がよく出てくる。「映画の特殊効果専門家」というのは、文化人類学的に分類すると、ハリウッド系の人種でなく、シリコンバレー系「ギーク」の系譜に属する。

一方、息子のもう一つのお気に入りが「Ask A Ninja」のビデオ・ポッドキャストである。これも、以前から私が好きで、息子は私の影響で見出した、といってもよい。こちらも、やっている人はハリウッドの売れない(今は売れてる)クリエーターだが、配信がポッドキャストとRevverということもあり、ファンはもっぱらギークたちだ。

で、最近、Mythbustersで、「映画に出てくるニンジャ伝説」を実証するという回があった。番組は水蜘蛛で水の上を本当に歩けるか、「白刃取り」は可能か、飛んでくる矢を手でつかむのは可能か、という3点の検証。例によって、念の入った装置を作るのがめっちゃおかしい。当然、最後にはAsk A Ninjaのニンジャが出てきて、そのやりとりはテレビでなくウェブだけで見られる。(ただし、番組を見ていないといまいちこのやりとり、わからないと思うが・・・)

どうも、ギークとニンジャの間には、深い関係がありそうだ。以前、Diggnationで、Kevin Roseが「ボクら子供のころ、ニンジャ遊びがはやったよね。ニンジャ、こわかったよね〜。」などと言っているのを聞いたこともある。Kevin Roseが子供のころというと、80年代で日本でも千葉真一真田広之が忍者の映画などに出ていた頃だろうか。当時の香港カンフー映画に日本風の忍者が出てきたらしく、そんな記憶が今のギークたちにあるのだろう。

考えてみれば、高度な訓練をつんだプロフェッショナル、パワフルだけど表に出ず裏ではたらく、任務は情報収集や情報撹乱(=ハッキング)みたいな忍者の雰囲気は、言ってみればギークたちの性質と似ている。現在のギークの間でのミニ・ニンジャ・ブームは、おそらく「Ask A Ninja」が引き金になっているのだろうけど。

なお、番組の中で、水蜘蛛で水上を歩く実験は失敗に終わったが、「甲賀忍術の里」で毎年行われる「全日本忍者選手権」では「水蜘蛛レース」種目があり、この写真を見ると、長いさおを使って、実際にやっている。なるほど、こうやるのか!

甲賀 全日本忍者選手権

ま、とにかく。ギークの間で、今ニンジャが静かなブームとなっているのだ。「日本のホンモノの忍者のことを知らない」「バカにしてるのか」などと、ヤボなことは言わないでね。これは「Ninja」という面白いキャラクターであって、「忍者」じゃない。というか、日本人の知ってる忍者だって、ホンモノじゃなくて昔の映画のキャラクターそのまんまだし。

でも、上記の「水蜘蛛」の件は、事実のほうが面白かったので英語のブログに書いちゃったけれど。

http://hogacentral.blogs.com/japan_tech_blog/