遊園地2.0? レゴランド vs. ディズニーランド

レゴのキャピトル・ヒル


春休みに、家族でレゴランドに行ってきた。南カリフォルニアの遊園地といえばディズニーランドがもちろん有名だが、我が家はいつも、それより車でさらに南へ2時間ほど、サンディエゴのすぐ北にあるレゴランドに行く。あの、ブロックを組み立てて遊ぶレゴの遊園地で、乗り物はすべてレゴのような形をしており、園内にはレゴで作った精巧なミニチュア世界の町(これは本当にすばらしく、一見の価値あり)などもある。

レゴを自分で組み立てることができるコーナーもいくつか設けられている。キットを貸し出して組み立てさせるシンプルなコーナーもあるが、今回ウチの子達がはまったのは、車を自分で組み立てて、坂になったレーシングコースで走らせて他の子と競争する、というもの。せっかく広い敷地の、こんな狭い部屋になんで2時間もつきあわされるんじゃー・・・と思いつつ、見ているとなかなか面白い。

坂コースは3つあるのだが、なぜか一番入り口に近いコースに上手な子たちが集まっており、そこが一番大騒ぎになっている。我が家の弟のほうも、特に教えたわけでもないのに、組み立てると一番隅にある日陰コースでまずテスト・ランをして、上手な子たちのコースでなく、2番目のコースに持ってきて本チャンのレースをする。他の子の作ったものを参考にして、もっと大きくしようとか、重くしようとか、いろいろ改良を加える。見ず知らずの子供たちがゴチャマンと集まっているのに、そこはかとないルールができており、ケンカする子も泣く子もいない。

そして、子供たちのエキサイトぶりは、他のお仕着せの乗り物に比べて、はるかにすごいエキサイトなのである。レースに勝ったからといって、賞品が出るわけでもなんでもないのに、速い車を作ろうとするヤツ、他の車を破壊できるような頑丈な車を作ろうとするヤツ、性能よりも見かけ重視のヤツなどがいろいろあって、それぞれに勝っても負けても大騒ぎなのだ。

うーむ、user generated contentsだなぁ・・・しかも、動力も管理もほとんどいらない、超低コスト・・・子供たちがオーバーヒートして暑くなったら窓開けるだけだし・・

さて、以前のエントリーにも書いたように、レゴランドの乗り物は何かしら子供たちが動かしたりコントロールできる仕掛けがついているのだが、2年前にはなかった新しい乗り物、「消防士レース」というのはこれまたすごい。大人・子供いりまぜて4人でチームとなり、消防車の形の乗り物に乗る。で、中には2つの大きなレバーがついていて、これを上下してレールの上を動かす仕組みになっている。つまり、動力は人力。で、反対側に着くと、ホースで的に水を当て、一定量的に当たると「火が消えた」ことになってランプがつき、消防車に戻ってまたレバーを上下してスタートに戻る。で、これが4台並んでいて同時にスタートするのだが、これまた勝っても賞品も出ないのに、どの家族も(特におとうさんたち)なんだか必死になって競争しちゃうのである。(このあたりの心理は、子供の運動会でやたらはりきって綱引きとかしちゃうお父さんにはよくおわかりになると思う)

よし、隣はおかあさん二人と子供だ、男手がいないぞ、こっちはオヤジがいるからあれには勝てる・・なんて思っていると、どっこい地元のおかーさんらしく、コツをよく知っていてやたら速い!なんてことも・・・ぐわー、負けた!

やられた。また、user generated contents、しかもチープな動力・・・なんで、こんなもんにリキいれて、親まで疲れなきゃならんのじゃ・・ぐぞ・・

うーむ、さすがはオープンソースの元祖、北欧の会社だけのことはある。(え?カンケーないって?)

レゴランドは全体に、ディズニーランドに比べると乗り物の規模も小さくて地味だが、その分、人気のないものを引っこ抜いて新しいものを入れたり、ちょこっと新しいユニットを付け加えたり、ということがやりやすそうに思う。さすがレゴだし・・一方、ディズニーランド(フロリダでなくカリフォルニアのほうにあるもの)は、7年前に行ったきりなのでその後どうなっているか知らないが、やたら派手な一方、やはり古い遊園地なので、単にぐるぐる回るような単純な乗り物が多く、フィーチャーされているキャラクターも、シンデレラやダンボやミッキーマウスと、とにかく全体的に古臭い印象があった。大きいものが多いし、たとえ古くても、シンデレラ城や空飛ぶダンボや「スモールワールド」のような定番の乗り物を引っこ抜くわけにいかないだろうし、ピクサーのおじさんが遊園地企画の親玉になっても、これを新しい感覚に変えるのは大変だろうな〜・・・と思う。バズやニモをキャラクターに加える程度のことでは、あの年季のはいった古さは変えられない。

さらに言うと、ディズニーランドのあるアナハイムの町は、現在はあまり環境がよいとは言えず、そのために入場者のかなりの部分を占める地元の人々は、ヒスパニックを中心とした、まぁはっきり言ってあまりお金持ちっぽくない人々が多い。これに対し、レゴランドはハイテク・軍事産業の土地柄に立地しているため、白人+インド人・東洋人といったミックスになり、最近ブログで話題の「知識産業」っぽい人々が多い。大体が、レゴ大好きなんぞという子供は、そもそもオタクの血筋なんだろうが。(キミ、BREWのソフト書いてるでしょ、って感じのインド人の多いこと・・)とにかく、このために私はディズニーランドの雰囲気が、やや暗いものとして印象に残っている。

でも、やっぱり世界的に有名で大衆的な人気があるのはディズニー。レゴランドは、せいぜいカリフォルニアの中だけで知られる、オタクの王国。

というワケで、いろいろとレゴランドは「遊園地2.0」だ、と思った次第。