息子に学ぶ米国史:南北戦争で北が勝ったワケ

老いては子に従え、ということで、米国史を「自国の歴史」として学んでいる息子たちから、ときどき目からウロコの話が聞けて面白い。

飯を食いながら、小学生のほうに「電報とは何か」ということを説明していたら、高校生のほうが、「そうそう、南北戦争北軍が勝ったのは電報のおかげなんだよ」と口をはさんできた。

南北戦争というと、「奴隷解放」の美談になってしまいがちだが、実のところ「近代工業経済」vs.「旧型農業経済」の間の軋轢であったことは皆様ご存知のとおり。で、工業経済だった北軍は、その力を駆使して「鉄道」と「電報」のインフラをがんがん敷設したのに対し、南は鉄道も電報回線(当時、電報はまだケーブルで送信していて、無線電報はなかった)も少なく、あっても北軍のスパイがケーブルをスプライスして盗聴しており、情報はダダ漏れだったのだそうだ。鉄道の人員・物資の輸送力については説明の必要もないだろう。南軍は自分で全部、銃や食糧を背負って移動していたのに対し、北軍は鉄道で武器や食糧を動かし、人は身軽に動けた。

前にも書いたように、日露戦争のとき日本軍は、その数年前に発明された無線電信をすでに取り入れていたようだ。(「坂の上の雲」の描写が正しければ、という前提で。)

私「そのちょっと前の日清戦争で日本が中国に勝ったのも、きっと日本のほうがテクノロジーが進んでいたから、なんだろうね」
息子「ウン、そうだよ。日本はアジア諸国の中で当時唯一、積極的に欧米のテクノロジーを取り入れたけれど、中国は内部抗争に明け暮れて、そういうことをしていなかった。日本はその前にすでに内部抗争に決着をつけてあった。それが、今日本が先進国になったきっかけだと学校(中学)でも習った。」

よく知ってるじゃねーか。いつの時代も、見えないところで「情報」が勝負を決するのだ。