ガラパゴス化しているのは、「カリフォルニア共和国」かそれとも「保守アメリカ」か

ビジネスアスキー」の小さいコラムに、「ガラパゴス化するカリフォルニア」という記事を書いた。4年前の大統領選挙のときからずっと感じていることで、リベラルな北カリフォルニアに住んでいると、「右傾化」していく保守アメリカの人々の考えていることが、まったく見えないし理解できない。カリフォルニアは、保守化する「ミドル・アメリカ」からどんどん離れ、独自の経済・文化圏として発達する「ガラパゴス」になりつつあるのでは・・・という気がしたのだ。

「右傾化する保守アメリカ」については、小飼弾さんのブログに取り上げられている町山智浩さんの著書あたりがわかりやすく述べていることなのだと思う。(まだ読めていないが、この本は読んでみたいと思っている。)町山さんもこのあたりに住んでおられるので、「保守アメリカ」を外から見ている感じなのではないか、と思う。

でも、昨日話したアメリカ人の友人(モロに「真ん中へん」の州出身)は、ブッシュのあまりの体たらくのためにバランスが変わり、さすがに頑強な「保守アメリカ」が今度は孤立して、極端に走ってますます先鋭化する「ガラパゴス」になった、という言い方をしていたので、なるほど、そういう見方もあるか・・・と思った。

4年前でさえ、どうしてブッシュが勝てたのか、私の立場から見ると全くわからない。「真ん中へんの保守派」がこれほど多いのだ、とショックを受けた。それで、今回の選挙でも、いくら世論調査オバマが優位でも、いくら子供達のクラスの「模擬投票」でマケインが「緑の党」や「独立候補」よりも得票が少なかった(爆)という話を聞いても、「苗字が母音で終わる人*1で、しかも有色人種」が、本当に大統領になれるのか、いまだに半信半疑なのだ。

前回の民主党候補だったケリーは「インパクト少なすぎ」だったのかもしれないが、それにしても今回はインパクトありすぎで、もし首尾よくオバマが大統領になったとしたら、逆に「ガラパゴス」となった保守アメリカの人々は、どうするのだろう?絶望のあまり、独立戦争でも始めちゃうんじゃなかろうか??

ウチの子供達の通う公立校では、毎朝子供達は、胸に手を当てて、アメリカ国旗に対して忠誠を誓う。一方、学校の前に毎朝掲揚される国旗の下には、カリフォルニア州の旗も一緒にはためいているが、熊の絵を描いたのどかなその旗には「California Republic」と書いてある。ここに育った子供達が心情的に帰属しているのは「カリフォルニア共和国」であるが、理念上の忠誠は「アメリカ合衆国」に対して誓うという二重構造で、この国は長いことやってきた。

国旗も国歌も一種のタブーになっている日本では、このうち「心情的帰属」だけで国がそこそこ成立してしまうからいいのだが、アメリカは国内での分裂がますます大きくなっていくのではないかと心配だ。

さて、明日の選挙で、果たしてガラパゴス化しているのはわが「カリフォルニア共和国」なのか、「ミドル・アメリカ連合国」なのか、とりあえず現時点での状況が判明する。

*1:歴代のアメリカの大統領で、苗字(last name)が母音で終わっている人はいない、という説がある。確認はしていないが、私がリアルタイムで知っている大統領は少なくとも、皆子音で終わっている。つまり、「ラテン系(イタリアやスペインを含む)」や「アジア系」や「中近東・アフリカ系」の名前はない、ということだ。